2024 年 159 巻 6 号 p. 407-412
創薬・薬理研究において,標的分子に作用する化合物や薬効を示す化合物の標的分子を早期に特定することは極めて重要である.しかし,この過程には多大な労力が伴い,しばしば研究の律速段階となる.本稿では,この問題を解決するための簡便かつ迅速な手段として,アフィニティーセレクションマススペクトロメトリー(Affinity Selection Mass Spectrometry:ASMS)を用いた結合化合物および結合タンパク質のクイックスクリーニングを紹介する.ASMSは,化合物と標的分子の結合を検出する技術である.さらに,ASMSの改良により対象とする標的分子の範囲を広げ,創薬プロセスの初期段階における重要なボトルネックを解消し,研究のスピードと成功率を向上させた.以下のキーワードを軸に,新たなスクリーニング手法の有用性を論じる.