日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
新規カルシウム感知受容体作動薬ウパシカルセトナトリウム水和物(ウパシタ®静注透析用)の薬理特性と臨床試験成績
大槻 健樹赤利 精悟柏木 直美小野 嘉之
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2025 年 160 巻 3 号 p. 207-219

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抄録

ウパシカルセトナトリウム水和物(ウパシカルセト)は,味覚増強の探索から派生して開発された,日本発のアミノ酸を基盤とする構造を有する新規低分子カルシウム感知受容体(CaSR)作動薬である.ウパシカルセトは,CaSRに特異的に作用し,細胞外カルシウム(Ca)存在下で活性化させることで,副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌を抑制すると考えられる.ウパシカルセトは,非臨床試験において,二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)に伴う異所性石灰化,副甲状腺過形成,骨障害及び,結合部位や薬理学的特性が検討され,SHPTに伴う諸疾患の進展抑制効果,作用機序および結合様式を支持する結果が得られた.ウパシカルセトは,臨床試験において,血液透析下のSHPT患者を対象とした国内第Ⅰ/Ⅱ相試験(AJ1001試験),国内第Ⅱ相用量調整試験(AJ1002試験),国内第Ⅲ相二重盲検並行群間比較試験(AJ1004試験)及び国内第Ⅲ相長期投与試験(AJ1003試験)において有効性,安全性が確認された.ウパシカルセトは,2021年6月に「血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症」の効能又は効果として製造販売承認を取得し,同年8月に発売された.

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