抄録
pranidipine(OPC-13340)は,効力が強く,作用持続時間が長い新規ジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗薬で,降圧薬および抗狭心症薬として開発されている.ブタ摘出冠動脈において,pranidipine(10-9-10-6M)は,セロトニン(10-8-10-5M)あるいはヒスタミン(10-8-10-4M)によるブタ冠動脈収縮を非競合的に,また,濃度依存的に抑制した.この冠動脈収縮抑制作用の強さは,ニフェジピンとほぼ同程度であった.麻酔開胸ブタにおいて,pranidipine(10μg/kg,i.v.)は,血圧を低下し,心拍数および左心室圧の一次微分最大値を増加し,非虚血域の局所心機能を高めた.投与後,冠動脈を結紮し虚血にしたとき,pranidipine投与群では左室拡張終期圧の上昇及び心電図のST上昇は対照群に比べ軽度であった.以上,pranidipineは,冠血管収縮抑制作用を持ち,心臓の前負荷(左室拡張終期圧)および後負荷(血圧)を軽減することにより心電図ST上昇を軽減させる作用を持つことから,狭心症の治療に有用であることが示唆された.