日本薬理学雑誌
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N-ニトロソジエチルアミンおよび四塩化炭素惹起肝硬変ラットにおける塩酸アスピリン胃損傷の発生とそれに対するアルジオキサの効果
内田 勝幸羽村 宏樹高木 智史野口 裕司柴田 浩子本多 秀雄
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1994 年 103 巻 3 号 p. 111-120

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抄録
ラットにN-ニトロソジエチルアミン(NDA)および四塩化炭素で肝硬変を惹起し,塩酸アスピリン胃損傷を起こした.NDA肝硬変では胃損傷の有意な悪化がみられたが,四塩化炭素肝硬変では悪化がみられなかった.この違いを明らかにするため胃粘膜血流および胃排出能に対する影響をそれぞれ水素ガスクリアランス法およびビーズ法にて検討した.NDA肝硬変ラットでは胃粘膜血流の低下および有意な胃排出の遅延が認められた.しかし,四塩化炭素肝硬変では変化がみられなかった.塩酸アスピリン投与によりNDA肝硬変ラットでは有意な胃粘膜血流の低下がみられた.アルジオキサはNDA肝硬変ラットの塩酸アスピリン胃損傷の発生を用量依存的に抑制し,胃粘膜血流の低下も抑制した。以上のことから,NDA惹起肝硬変モデルにおいて塩酸アスピリン胃損傷の悪化がみられ,その原因として胃粘膜血流の低下および胃排出の遅延が考えられた.また,アルジオキサは肝硬変にともなう胃損傷発生に抑制作用を示すことが明らかになった.
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