日本薬理学雑誌
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103 巻, 3 号
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  • 玉置 俊晃, 安部 陽一
    1994 年 103 巻 3 号 p. 83-89
    発行日: 1994年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    Glomerular circulation is mainly regulated by two resistance arterioles, the afferent arteriole and the efferent arteriole. Many experimental findings show that each arteriole has a different sensitivity to various kinds of physiological stimuli and some vasoactive substances. Moreover, there is a regional heterogeneity of the glomerular microcirculation. Thus, many researchers have been challenged to develop direct studies that focus on the control of the renal microcirculation. The recent development of innovative in vivo and in vitro preparations provide the opportunity to directly study the renal microcirculation. In this article, we introduce the methods for isolation, cannulation and in vitro study of a single renal arteriole. The isolated renal microvessel technique permits direct in vitro assessment of single arteriolar responses in defined segments to vasoactive substances without the neurohumoral and parenchymal tissue environment. Intracelluar ion concentration and functional change of the renal microvessel can be evaluated simultaneously using both this technique and fluorescent ion indicators. Accumulation of data that directly assesses the renal microcirculation may clarify mechanisms for the regulation of renal hemodynamics.
  • 淀縄 聡, 黒沢 元博
    1994 年 103 巻 3 号 p. 91-99
    発行日: 1994年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    プロスタグランジンF(PGF)安定代謝産物静脈内投与によるモルモット気道反応性の変化を検討した.総量10μg/kgのPGF安定代謝産物である13,14-dihydro-15-keto-PGFを静脈内に1時間持続注入すると,気道粘膜に浮腫を生じることなく,ヒスタミン1.8および3.6μg/kg静脈内投与による気道平滑筋の収縮率が増加した.トロンボキサンA2(TXA2)拮抗薬ONO-NT-126の3,10μg/kg静脈内前投与,およびONO-NT-126の前駆物質であるONO-8809の30,100μg/kg経口前投与は,13,14-dihydro-15-keto-PGFによるヒスタミンの気道過敏性亢進を抑制した.
  • 大浦 真人, 森 豊樹, 渡辺 耕三, 池園 勝美, 中山 夏樹, 富永 道明, 薮内 洋一
    1994 年 103 巻 3 号 p. 101-109
    発行日: 1994年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    pranidipine(OPC-13340)は,効力が強く,作用持続時間が長い新規ジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗薬で,降圧薬および抗狭心症薬として開発されている.ブタ摘出冠動脈において,pranidipine(10-9-10-6M)は,セロトニン(10-8-10-5M)あるいはヒスタミン(10-8-10-4M)によるブタ冠動脈収縮を非競合的に,また,濃度依存的に抑制した.この冠動脈収縮抑制作用の強さは,ニフェジピンとほぼ同程度であった.麻酔開胸ブタにおいて,pranidipine(10μg/kg,i.v.)は,血圧を低下し,心拍数および左心室圧の一次微分最大値を増加し,非虚血域の局所心機能を高めた.投与後,冠動脈を結紮し虚血にしたとき,pranidipine投与群では左室拡張終期圧の上昇及び心電図のST上昇は対照群に比べ軽度であった.以上,pranidipineは,冠血管収縮抑制作用を持ち,心臓の前負荷(左室拡張終期圧)および後負荷(血圧)を軽減することにより心電図ST上昇を軽減させる作用を持つことから,狭心症の治療に有用であることが示唆された.
  • 内田 勝幸, 羽村 宏樹, 高木 智史, 野口 裕司, 柴田 浩子, 本多 秀雄
    1994 年 103 巻 3 号 p. 111-120
    発行日: 1994年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    ラットにN-ニトロソジエチルアミン(NDA)および四塩化炭素で肝硬変を惹起し,塩酸アスピリン胃損傷を起こした.NDA肝硬変では胃損傷の有意な悪化がみられたが,四塩化炭素肝硬変では悪化がみられなかった.この違いを明らかにするため胃粘膜血流および胃排出能に対する影響をそれぞれ水素ガスクリアランス法およびビーズ法にて検討した.NDA肝硬変ラットでは胃粘膜血流の低下および有意な胃排出の遅延が認められた.しかし,四塩化炭素肝硬変では変化がみられなかった.塩酸アスピリン投与によりNDA肝硬変ラットでは有意な胃粘膜血流の低下がみられた.アルジオキサはNDA肝硬変ラットの塩酸アスピリン胃損傷の発生を用量依存的に抑制し,胃粘膜血流の低下も抑制した。以上のことから,NDA惹起肝硬変モデルにおいて塩酸アスピリン胃損傷の悪化がみられ,その原因として胃粘膜血流の低下および胃排出の遅延が考えられた.また,アルジオキサは肝硬変にともなう胃損傷発生に抑制作用を示すことが明らかになった.
  • 薬王 郁久, 石井 勝美, 世戸 康弘, 今野 清美, 武山 邦彦, 中村 秀雄, 唐澤 忠彦
    1994 年 103 巻 3 号 p. 121-135
    発行日: 1994年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    新規抗ヒスタミン薬ebastineの抗アレルギー作用について既存の抗ヒスタミン薬と比較検討した.1)ebastineは経口投与により,モルモット同種受身皮膚アナフィラキシー(PCA),ラット実験的アレルギー性鼻炎およびモルモット実験的喘息を抑制し(ED50値はそれぞれ2.17,0.29および0.35mg/kg),その効力はテルフェナジンおよびメキタジンより強かった.ebastineのPCA抑制作用は24時間持続した.2)ebastineは経口投与により,ラットのヒスタミン誘発皮膚反応を用量依存的に抑制し(ED50:1.10mg/kg),その効力はテルフェナジン,メキタジンおよびケトチフェンのそれぞれ約2.2倍,3.4倍および0.7倍であった.3)摘出モルモット気管標本におけるヒスタミン誘発収縮に対し,ebastineは溶解限度の10μMで抑制作用を示さなかったが,その主代謝物であるcarebastineの抑制効力(IC50:0.12μM)はテルフェナジンおよびメキタジンの約40倍であった.一方,回腸標本ではebastineにも抗ヒスタミン作用がみられ,その効力はcarebastine(IC50:0.13μM)の約0.04倍であり,両者の作用はインキュベート時間に依存して強くなった.4)carebastineはラット腹腔肥満細胞およびヒト末梢血好塩基球からのヒスタミン遊離を高濃度で抑制した.5)ebastineは脳ヒスタミンH1受容体への3H-メピラミンの特異的結合を,抗ヒスタミン作用発現用量の100倍以上の経口投与でも軽度にしか抑制しなかった.その効力は,テルフェナジンよりやや強く,メキタジンおよびケトチフェンよりも明らかに弱かった.6)carebastineは摘出モルモット気管標本において,抗ヒスタミン作用の約0.001倍の抗コリン作用しか示さなかった.以上の結果から,ebastineは強力で持続的な抗アレルギー作用を示すが,抗ヒスタミン作用に基づく中枢性副作用は弱く,これらの作用の大部分は代謝物のcarebastineを介するものであることが示唆された.
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