日本薬理学雑誌
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大豆粕乾留タール(Glyteer)の薬理学的研究(第5報)-抗菌作用-
伊藤 幸次前田 さつき高鳥 浩介竹内 久米司
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1995 年 105 巻 6 号 p. 469-478

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抄録

大豆粕乾留タール(Glyteer:GL)の臨床効果を細菌学的に裏付けるため,in vitroにおける抗菌試験および耐性獲得試験を行った.GLは主要な皮膚感染菌である細菌に対して156.3~2500μg/mL白癖菌に対しては156.3μg/mlの最小発育阻止濃度(MIC:Minimum inhibitory concentration)を示した.また,これら菌に対する最小殺菌濃度(MCC=Minimum cidal concentration)はMICとほぼ同程度の数値を示し,GLの抗菌作用は殺菌的であることが推察された.GLは,MRSA(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus)に対しても有効であった.更に,耐性獲得試験においては,代表的な細菌および病原性真菌のいずれに対してもGL耐性の獲得傾向がなく,GL耐性菌出現の可能性は少ないものと思われた.以上,GLは皮膚科領域でしばしば問題となる皮膚感染菌に対して明らかな抗菌作用を示し,皮膚疾患に対するGLの臨床効果を裏付けるものとなった.

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