日本薬理学雑誌
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105 巻, 6 号
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  • 小川 靖男, 村山 尚
    1995 年 105 巻 6 号 p. 423-430
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    Ryanodine receptor (RyR) is a calcium release channel protein on the intracellular Ca2+-store. While inositol 1, 4, 5-trisphosphate receptor (IP3R), another intracellular calcium release channel protein, is mainly found in non-muscle cells, such as neurons and hepatocytes, and smooth muscles, RyR is the Ca2+-release channel protein in skeletal and cardiac muscles. At least three genetically distinct isoforms of RyR are identified: isoform proteins Ryrl, Ryr2, and Ryr3 expressed by ryr1, ryr2 and ryr3, respectively. In the central nervous system where IP3R is much more abundant than RyR, the main isoform of RyR is Ryr2, which is specific to the cardiac ventricular muscle. Recently, ryr3 was detected in specific regions of the brain. In this paper, the heterogeneous distribution and localization of RyR isoforms in the brain are summarized. The discussion extends into their putative functions, especially potential involvement in neuronal plasticity.
  • 八田 愼一, 大鹿 英世
    1995 年 105 巻 6 号 p. 431-436
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    The mechanism whereby hormones or neurotransmitters activate G proteins and their intracellular effectors can be studied in reconstituted systems using purified components. However, the regulation of receptor-G protein signaling appears to be substantially more complex in the cell and several additional components participate in this event. To study the relationship among G proteins receptors, and effectors in complex systems, such as membranes of permeable cells, it is necessary to employ methods that selectively allow the examination of G protein activation. One such method is photoaffinity labeling using a hydrolysis-resistant, photoaffinity GTP analog, P3 (4-azidoanilido)-P1-guanosine 5'-triphosphate (AAGTP). Here we describe the synthesis and purification of [32P] AAGTP as well as a procedure suitable studying the G protein function in membrane preparations. Photoaffinity labeling in rat cerebral cortex membranes showed that at least four G proteins (GsH, GsL, Gi, and Go) were labeled by [32P] AAGTP. [32P] AAGTP labeling on Gs and Gi was altered in concert with the activation states of those G proteins. An agonistspecific increase in [32P] AAGTP labeling of the G protein α-subunit in a membrane preparation has also been demonstrated. Thus, the photoaffinity labeling method with [32P] AAGTP makes it possible to investigate the behavior of individual G proteins in complex systems such as membrane preparations.
  • 松村 敏弘, 古市 浩康, 泉 順吉, 須田 浩守, 伊藤 茂, 武井 峰男, 西 直樹, 森 正, 田中 芳明, 栗本 忠
    1995 年 105 巻 6 号 p. 437-446
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬であるエホニジピンの抗アノキシアおよび抗脳虚血効果について各種アノキシアおよび脳虚血モデルを用いて検討し,ニカルジピンおよびフルナリジンの効果と比較した.エホニジピンはフルナリジンと同様にKCN誘発アノキシアおよび断頭による完全脳虚血に対して投与後6時間でも保護効果を示した.―方,ニカルジピンはこれらの系において持続的な効果はみられなかった.Asphyxicアノキシアにおいてエホニジピン(1mg/kg,i.p.)は脳波消失時間を延長した.しかし,ニカルジピン,フルナリジンには効果が認められなかった.マウス両側総頸動脈結紮虚血モデルにおいてエホニジピン,ニカルジピンおよびフルナリジン(4mg/kg,i.p.)は累積死亡率を有意に低下させた.両側総頸動脈結紮20時間後の生存率は対照群0%に対し,エホニジピン群では33%と有意に高かったが,ニカルジピンおよびフルナリジン群では効果が認められなかった.さらに,断頭虚血モデルにおいてエホニジピンは脳エネルギー代謝改善作用を示した.エホニジピンの効果はこれら類薬よりも全般的に優れており,エホニジピンの脳虚血障害改善効果が示唆された.
  • 高砂 浄, 笠井 義男, 北野 裕, 森 和彦, 柿畑 耕司, 広橋 正章, 野村 護
    1995 年 105 巻 6 号 p. 447-460
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    新規抗腫瘍薬である塩酸イリノテカン(CPT-11)の下痢誘発機序ならびにその治療方法について検討した.1)生理的食塩液経口前負荷(10ml/kg)ラットにおいて,CPT-1180mg/kg単回静脈内投与は,投与後約1時間以内にほぽ全例で水様性下痢を誘発した.この下痢は,アトロピン(1mg/kg)あるいはオンダンセトロン(1mg/kg)の単独皮下処置で部分的に,両薬の併用,クロニジン(0.3mg/kg)あるいはモルヒネ(10mg/kg)の単独処置でほぼ完全に抑制された.2)同用量のCPT・11は,消化管ル―プ法にて評価した水分吸収能に対して抑制作用を示し,この作用は上記の止潟薬により下痢と同様に阻害された.また,消化管ループ内に直接注入したCPT-11は,注入1~7時間にわたって水分吸収抑制のみならず分泌充進作用を示した.3)CPT-1160mg/kg単回静脈内投与による消化管組織障害活性は,5-フルオロウラシル270mg/kgのそれと比較して極めて軽微であったが,CPT-1160mg/kgを4日間反復投与することで消化管組織障害を伴った遅延性の下痢症状が投与開始5-7日目に観察された.オンダンセトロンを除く上記の止濡薬は,反復投与開始3および4日目の投与直後に発現した水様性下痢に対して抑制効果を示したが,遅延性の下痢症状に対してはいずれの止潟薬も無効であった.以上の成績より,CPT-11は消化管組織障害を介した遅延性下痢誘発活性は比較的弱いが,消化管内水分吸収能の抑制作用を一部介した機能性下痢を急性期(投与後数時間以内)に誘発する活性をもつことが示唆された.また代表的な止潟薬は,CPT-11による急性期の機能性下痢を抑制したが,反復投与により発現する消化管組織障害を伴った遅延性下痢に対しては改善効果を示さないことが明らかとなった.
  • 片山 謙一, 森尾 保徳, 芳賀 慶一郎, 福田 武美
    1995 年 105 巻 6 号 p. 461-468
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    消化管運動賦活調整薬であるシサプリド(cis-4-amino-5-chloro-N-[1-[3-(p-fluorophenoxy)propyl]-3-methoxy-4-piperidy1]-o-anisamide)のセロトニン(5-HT)4受容体への親和性を,モルモット脳線条体を膜標品とする3H-GRIl3808結合試験を用いて検討した.3H-GR113808は解離定数(Kd値)0.21±0.009nM,最大結合量(Bmax値)162±7.7fmol/mgタンパクで単一結合部位に結合した(Hill係数1.0±0.03).しかし,3H-GRI13808と特異的に結合した膜標品に高濃度のシサプリドを添加すると,3H-GRI13808は急速に受容体から解離し,シサプリドは3H-GR113808と同一部位に結合することが示唆された,シサプリドの3H-GRII3808に対する阻害作用は濃度依存的であり,高濃度では完全に阻害した.結合阻害定数(Ki値)は70nMであり,5-HT4受容体への親和性は5-HTの約1.9倍,5-メトキシトリプタミンの約7.3倍,モサプリドの約4.3倍,ザコプリドの約11倍,メトクロプラミドの約26倍であった.ドンペリドンの親和性は非常に弱く,マレイン酸トリメブチンおよびナパジシル酸アクラトニウムは親和性を示さなかった.3H-GR113808結合に対する阻害作用の様式を検討したところ,シサプリドは3H-GR113808のKd値を増加させ,Bmax値には影響を及ぼさなかった.以上の結果から,シサプリドは5-HT4受容体に対し3H-GR113808と競合的に結合することが明らかとなった.
  • 伊藤 幸次, 前田 さつき, 高鳥 浩介, 竹内 久米司
    1995 年 105 巻 6 号 p. 469-478
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    大豆粕乾留タール(Glyteer:GL)の臨床効果を細菌学的に裏付けるため,in vitroにおける抗菌試験および耐性獲得試験を行った.GLは主要な皮膚感染菌である細菌に対して156.3~2500μg/mL白癖菌に対しては156.3μg/mlの最小発育阻止濃度(MIC:Minimum inhibitory concentration)を示した.また,これら菌に対する最小殺菌濃度(MCC=Minimum cidal concentration)はMICとほぼ同程度の数値を示し,GLの抗菌作用は殺菌的であることが推察された.GLは,MRSA(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus)に対しても有効であった.更に,耐性獲得試験においては,代表的な細菌および病原性真菌のいずれに対してもGL耐性の獲得傾向がなく,GL耐性菌出現の可能性は少ないものと思われた.以上,GLは皮膚科領域でしばしば問題となる皮膚感染菌に対して明らかな抗菌作用を示し,皮膚疾患に対するGLの臨床効果を裏付けるものとなった.
  • 西村 宣泰, 高瀬 英志, 森田 富範
    1995 年 105 巻 6 号 p. 479-489
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    高血圧自然発症ラット(SHR)の心肥大,冠血管拡張予備能の低下,冠血管肥厚および腸間膜血管床のノルエピネフリン(NE)反応性冗進に対するアンジオテンシンII(Ang II)受容体拮抗薬とアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の作用を比較検討するために,ロザルタンおよびカプトプリルを5週齢のSHRに16週間反復投与した.1)ロザルタン(10mg/kg,p.o.)およびカプトプリル(30mg/kg,p.o.)は,SHRの加齢に伴う収縮期血圧の上昇をそれぞれ有意に抑制し,両者の抑制効果は同程度であった.2)21週齢のSHRの心室重量は,対照群に比べ,ロザルタン投与群(L群)およびカプトプリル投与群(C群)では有意に低値を示した.3)摘出心臓灌流標本を用いて,アデノシン(10nmol)投与により得られる最大冠灌流量を指標に冠血管拡張予備能を検討した結果,L群の最大冠灌流量は対照群に比べて有意に高値を示し,冠血管拡張予備能の改善効果が認められた.C群においても高値を示したが,その改善効果はL群よりも弱かった.4)冠血管肥厚についてwall/lumen ratioをもって検討した結果,L群およびC群ではそれぞれ対照群に比べて有意に低値を示した.5)摘出腸間膜血管床のNE(0.1~30n mol)による灌流圧上昇作用において,L群では対照群に比べて有意に低下していた.C群でも低下傾向を示したが,有意な作用ではなかった.以上,SHRにおける心血管系の病態に対するロザルタンおよびカプトプリルの改善効果を長期間投与により比較検討した結果,加齢に伴う血圧上昇を同程度抑制する条件下において,ロザルタンは冠血管肥厚,冠血管拡張予備能低下および腸間膜血管床におけるNE反応性元進を有意に改善し,その作用はカプトプリルよりも優れていたことより,ACE以外の酵素により産生された組織中Ang IIもこれらSHRの血管の器質的変化や反応性冗進に一部関与している可能性が示唆された.
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