抄録
propiverine llydmohloride(プロピベリン)は,尿失禁・頻尿の治療薬である.ラットおよびイヌ摘出膀胱標本において,プロピベリン(10-6 ?? 3×10-5M)はacetylcholine chloride(アセチルコリン)用量反応曲線を右方へ平行移動し,最大収縮を抑制した.ラットおよびイヌにおけるpA2値はそれぞれ,5.97および6.62であった.プロピベリンは100mM KCl収縮を用量依存的に抑制し,ラットおよびイヌにおけるIC50値は,それぞれ3.9×10-6Mおよび3.8×10-6Mであった.テロジリンのラットアセチルコリン用量反応曲線から求めたpA2値は6.08であり,100mM KCl収縮から求めたIC50値は6.6×10-6Mであった.一方,オキシブチニンのラットアセチルコリン用量反応曲線から求めたpA2値は7.69であり,100mM KCl収縮から求めたIC50値は4.5×10-6Mであった.このようにオキシブチニンでは,抗ムスカリン作用および抗KCl作用の作用濃度に明らかな相違が認められたが,プロピベリンおよびテロジリンでは両作用が同濃度域で発現していることが示唆された.次に経壁電気刺激収縮に対する被験薬の作用について検討した.ラットおよびイヌ膀胱におけるテトロドトキシン(10-7g/ml)による抑制率は,それぞれ76.6%および92.6%であった.プロピベリンおよびベラバミルにおいて本収縮の用量依存的な抑制が認められた濃度(それぞれ10-5M以上および3×10-6M以上)では,抗KCl作用が明瞭に観察された.一方,ラット膀胱ではアトロピン(3×10-5M)による抑制は認められず,またイヌ膀胱ではアトロピン(10-5M)により14.9%の抑制が認められたに過ぎなかった.以上の結果から,ラットおよびイヌ摘出膀胱標本において,プロピベリンの抗ムスカリン作用および抗KCl作用の両作用が認められるが,本薬のアトロピン抵抗性部分の収縮抑制には,主として抗KCl作用が関与することが示唆された.