日本薬理学雑誌
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ESRを用いた薬物間相互作用の検出
坂上 宏佐藤 和恵
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1999 年 113 巻 6 号 p. 349-356

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抄録

ビタミンC,没食子酸,ドパミンは,ヒト前骨髄性白血病HL-60細胞にアポトーシス(ヌクレオソーム単位のDNAの断片化,核膜周辺でのクロマチンの凝集,微絨毛の消失)を誘導する.ESRスペクトル解析により,これら化合物の誘導体のラジカル強度とアポトーシス誘導活性との間には,正の相関関係があることが判明した.ビタミンCと没食子酸とを混合すると,没食子酸の細胞障害活性とラジカル強度は,1桁ないし2桁低い濃度のビタミンCにより消去され,ビタミンCが支配的であった.ビタミンCとドパミンとを混合すると,これらの物質のラジカル強度とアポトーシス誘導活性とはいずれも干渉し合った.これに対して,各種リグニンは,ビタミンCのラジカル強度とアポトーシス誘導活性を,いずれも増強した.ESRスペクトル解析は,薬物間相互作用の検出に有用であると思われる.

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