日本薬理学雑誌
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113 巻 , 6 号
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  • 太田 尚, 里見 透, 鈴木 順, 池本 文彦, 錦辺 優
    1999 年 113 巻 6 号 p. 331-338
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/01/30
    ジャーナル フリー
    ロサルタンはAT1アンジオテンシン(AII)受容体拮抗薬という新しいクラスの降圧薬である.ロサルタンは経口投与後速やかに吸収され,代謝されたカルボン酸体(E3174)とともにAT1受容体を遮断することにより,血管平滑筋では収縮反応を抑制,副腎皮質ではアルドステロン分泌の抑制等を起こし,降圧作用が発現すると考えられる.また,ロサルタンはAII刺激による細胞の増殖と成長を抑制することから臓器保護作用をもつことも考えられる.最近,ロサルタンには他のAII受容体拮抗薬には無い固有の作用としてTXA2受容体抑制作用や尿酸排泄促進作用を有していることが報告されている.高血圧ばかりでなく心不全の臨床試験においても,ロサルタンはアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)と同等以上の延命効果を示し,ACEIと異なり,空咳や浮腫などの副作用が少なく,忍容性の高い治療薬であることが示されている.また,腎症の発症予防についても,ロサルタンの効果が期待される.AT1受容体を選択的に遮断するロサルタンの効果がACEIとヒトにおいてどのように異なるか,現在実施されている大規模比較臨床試験により明らかになるものと期待される.
  • 赤池 紀扶
    1999 年 113 巻 6 号 p. 339-347
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/01/30
    ジャーナル フリー
    近年,我々はニューロン,グリアやマイクログリアなどの微小細胞,そして大型の心筋細胞にみられる化学受容体(レセプター)直結型やGTPタンパク介在セカンドメッセンジャー系で制御されるクロライド(Cl-)チャネルの働き,加えて各種細胞のCl-トランスポーターと連関する細胞内Cl-濃度の変動を生理学的条件下に観察可能にした新技術,グラミシジン穿孔パッチ記録法を開発した(1~5).本法は抗生物質の一種,グラミシジンによって生体膜に形成された化学的小孔は一価陽イオンのみを選択的に通過させるという特性を穿孔パッチ記録法として利用したもので,パッチ膜下の細胞が含む生理的Cl-濃度に何らの影響も与えることなく細胞のCl-応答を記録したり細胞内Cl-濃度を正確に測定できる.本著では特に,発達・加齢,痙攣発作や神経外傷などによる脳機能損傷時における中枢ニューロンの細胞内Cl-濃度がいかに変化するのかに焦点を絞り,抑制性のγ-アミノ酪酸(GABA)やグリシン(Gly)のCl-応答を指標にして解説した.
  • 坂上 宏, 佐藤 和恵
    1999 年 113 巻 6 号 p. 349-356
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/01/30
    ジャーナル フリー
    ビタミンC,没食子酸,ドパミンは,ヒト前骨髄性白血病HL-60細胞にアポトーシス(ヌクレオソーム単位のDNAの断片化,核膜周辺でのクロマチンの凝集,微絨毛の消失)を誘導する.ESRスペクトル解析により,これら化合物の誘導体のラジカル強度とアポトーシス誘導活性との間には,正の相関関係があることが判明した.ビタミンCと没食子酸とを混合すると,没食子酸の細胞障害活性とラジカル強度は,1桁ないし2桁低い濃度のビタミンCにより消去され,ビタミンCが支配的であった.ビタミンCとドパミンとを混合すると,これらの物質のラジカル強度とアポトーシス誘導活性とはいずれも干渉し合った.これに対して,各種リグニンは,ビタミンCのラジカル強度とアポトーシス誘導活性を,いずれも増強した.ESRスペクトル解析は,薬物間相互作用の検出に有用であると思われる.
  • 河野 元一
    1999 年 113 巻 6 号 p. 357-366
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/01/30
    ジャーナル フリー
    局所麻酔薬は抜歯あるいは小手術時に頻繁に使用されるなど歯科臨床において幅広く用いられている薬剤であるが,近年,好中球の機能に様々な影響を与えることが示されている.好中球やマクロファージなどの貧食細胞は感染初期の非特異的な免疫機構において重要な機能的役割を演じることから,この好中球の機能抑制が局所麻酔薬使用時の細菌感染発生の少なくとも一部に関与する可能性は十分に考えられる.本研究では,マクロファージの遊走能,およびスーパーオキサイド産生能に及ぼす局所麻酔薬の影響について検討した.局所麻酔薬として塩酸リドカイン,塩酸メビバカイン,塩酸プロピトカイン,塩酸プロカイン,および塩酸テトラカインの5種類を用いた.塩酸リドカイン,塩酸メビバカイン,塩酸プロピトカイン,および塩酸テトラカインでは0.1および1mg/m1濃度の添加においてマクロファージ遊走能およびスーパーオキサイド産生能をともに有意に抑制した(P<0.05).これに対して,塩酸プロカイン0.1mg/m1濃度の添加では遊走能およびスーパーオキサイド産生能に有意な抑制は認められなかったが,1mg/m1添加では他の局所麻酔薬と同様,遊走能およびスーパーオキサイド産生能を有意に抑制した.なお,塩酸リドカイン前処理によるスーパーオキサイド産生能抑制は可逆的な抑制であるのに対して,一方,塩酸メビバカイン,塩酸プロピトカイン,塩酸プロカイン,あるいは塩酸テトラカインで前処理した場合には,いずれもスーパーオキサイド産生能を有意に抑制した(P≤0.05).本研究成績から,今回用いた局所麻酔薬は臨床適応濃度でマクロファージの遊走能およびスーパーオキサイド産生能をいずれも抑制することが明らかとなった.
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