日本薬理学雑誌
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(Ethyl p-(6-guanidinohexanoyloxy)benzoate)methanesulfonate(FOY)のkinin生成系および線溶活性系に対する作用
愛下 秀毅桶川 忠夫穐本 晃槙田 敏雄清水 浩阪口 喜美子小島 正紀
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1975 年 71 巻 1 号 p. 89-99

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抄録
Kinin生成系および線溶活性系に対するFOYの阻害効果を既知の阻害剤と比較検討した.1)FOYは10-4g/mlでtrypsinの,10-3g/mlでpancreas kallikreinおよびplasma kallikreil1のkinin生成作用を完全に阻害した.2)Trasylolはpancreas kallikreinに対しては100KIU/ml,Plasma kallikreinに対しては300KIU/mlでそのkinin生成作用を完全に阻害したが,trypsinに対しては700KIU/mlを必要とした.3)soybean trypsin inhibitorはtrypsinに対しては5×10-4g/mlで,Plasma kallikreinに対しては10-4g/mlでkinin生成作用を100%阻害したが,pancreas kallikreinに対しては10-2g/mlの高濃度でも阻害しなかった.4)ラット後肢下潅流実験で,後肢を46°に加温することによって0.2~1.0ng/ml BK相当量のkinin様物質が生成された.そして,α-chymotrypsinとのincubationで生成されたkinin様物質のラット子宮収縮作用は完全に消失した.5)FOY10~100μg/ml含有Tyrode液で潅流すると,kinin様物質の生成は30~100%阻害された.Trasylol 1,000KIU/mlでは60~90%阻害された.しかし,FOY,Trasylolとも静脈内投与では全く阻害作用を示さなかった.6)イヌにおいてHs30mlとSK100,000unit投与で血中のPlasminの活性化および出血傾向の増大を認めた.7)FOY100mg/kg/150minではSK投与60分後から強い抗線溶作用を示した.また,t-AMCHAも100mg/kg/150minの投与で抗線溶作用を示した.8)以上のことから,FOYにはkinin生成阻害効果および線溶活性阻害効果のあることが認められた。
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