日本薬理学雑誌
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抗精神病薬Penfluridolの薬理学的研究 ―第2報一般薬理作用―
伊藤 敬三塗本 精一落合 喬堀内 幹夫鈴木 省吾工藤 幸司石田 柳一甲和 良夫
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1976 年 72 巻 5 号 p. 501-517

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抄録

持続型抗精神病薬penfluridol(TLP-607)の一般薬理作用を検討し,以下の成績を得た.1)TLP-607(i.v.)はネコ呼吸,血圧,心電図において,呼吸への影響は少なく,血圧降下,心拍数減少を起こし,ウサギ生体心臓において心運動抑制作用を示した.イヌ動脈血流量および適出ウサギ耳介血管標本に対して著明な作用を示さなかった.2)TLP-607はネコにおけるadrenaline,noradrenalineおよびdopamine昇圧反応を軽度に抑制したが,acetylcholineおよびhistamine降圧反応には影響をおよぼさなかった.摘出モルモット回腸においてTLP-607は抗acetylcholine作用,抗histamine作用および抗BaCl2作用を示した.また上頸交感神経節前線維刺激による瞬膜収縮に対してわずかに抑制する傾向を示した.3)ウサギ摘出回腸自動運動,ラット胃酸分泌および胆汁分泌に対してTLP-607はほとんど影響をおよぼさなかった.ラットのストレス潰瘍およびShayラヅト潰瘍形成ならびにネコ生体胃腸管運動に対しては軽度の抑制作用を示し,マウス腸管内炭末輸送に対しては軽度に促進する傾向を示した.4)TLP-607はラットの生体および摘出子宮運動に対して軽度の抑制作用を示した.坐骨神経末端刺激による腓腹筋の収縮および尿量ならびに尿中電解質排泄に対しては影響を与えなかった.

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