日本薬理学雑誌
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気道分泌についての薬理学的研究(第1報)自律神経系作用薬の気道分泌におよぼす影響
江田 昭英井上 吉郎中村 邦裕森 裕志
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1978 年 74 巻 3 号 p. 317-323

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抄録
自律神経系作用薬の気道分泌に及ぼす影響をラットを用いて実験した.pilocarpineの5mg/kgの腹腔内投与は分泌量を著明に増加し,分泌物中の糖質量をも著明に増加した.蛋自質量は軽度減少の傾向を示したが,粘度にはほとんど影響がみられなかった.pilocarpineによる気道分泌の変化はatropineの2.5mg/kgの前投与によって完全に抑制され,分泌量は減少に転じた.これに対して交感神経系作用薬の影響は弱く,noradrenalineの100μg/kgでは若干の分泌量および蛋白質量の減少がみられ,adrenalineではほとんど影響がみられなかった.isoprotercnolでは粘度を軽度減少した.phentolamineの1mg/kgの投与は粘度および蛋白質量を軽度減少し,糖質量を軽度増加した.また,同量のpropranololは分泌量および糖質量を明らかに減少し,蛋臼質量も軽度減少した.phentolamincを前処置した場合にはnoradrenalineによって糖質量が著明に増加し,isoproterenolによって分泌量および糖質量が著明に増加した.propranololを前処置した場合にはnoradrenalineによって分泌量,蛋白質量および糖質量が軽度減少し,isoproterenolによって分泌量は明らかに減少し,蛋白質量も減少した.isoproterenol50μg/kg/dayの2週間以上の連続投与により分泌量,粘度および蛋白質量が増加し,特に粘度の増加は顕著であった.
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