日本薬理学雑誌
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ラット子宮収縮におけるProstaglandin Fの遅延作用とこれに及ぼす卵胞ホルモンの影響
清水 忠重相澤 義雄
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1978 年 74 巻 3 号 p. 325-333

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抄録
ラット子宮収縮に対するprostaglandin F(PGF)の遅延作用とこれに及ぼす卵胞ホルモンの影響について検討を行った.その結果,1)estrusラット子宮でPGE2,PGFおよびoxytocinの収縮作用とPGFの内圧上昇作用に,PGFの遅延効果が現われ有意に子宮の反応控を増大した.一方,diestrusラット子宮ではPGFの遅延効果は認められなかった.2)卵巣摘出ラット子宮では,PGFの遅延効果は認められなかったが,estrone投与ラット子宮ではPGE2とPGFによる子宮収縮および内圧上昇とも増大した.しかしoxytocinの作用には変化を与えず,PGの作用に特異的に効果が発現した.3)ラット輸精管および空腸におけるnoradrenaline,acetylcholine,BaCl2とPGFの収縮作用に対してはPGFの遅延効果は認められず,子宮平滑筋に特異的に現われることが解った.これらのことから,PGFの遅延効果はラット子宮のPGに対する反応性に特異的に起こるものであり,きらに卵胞ホルモンが重要な役割を演じていることが推察された.
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