抄録
ラット子宮収縮に対するprostaglandin F2α(PGF2α)の遅延作用とこれに及ぼす卵胞ホルモンの影響について検討を行った.その結果,1)estrusラット子宮でPGE2,PGF2αおよびoxytocinの収縮作用とPGF2αの内圧上昇作用に,PGF2αの遅延効果が現われ有意に子宮の反応控を増大した.一方,diestrusラット子宮ではPGF2αの遅延効果は認められなかった.2)卵巣摘出ラット子宮では,PGF2αの遅延効果は認められなかったが,estrone投与ラット子宮ではPGE2とPGF2αによる子宮収縮および内圧上昇とも増大した.しかしoxytocinの作用には変化を与えず,PGの作用に特異的に効果が発現した.3)ラット輸精管および空腸におけるnoradrenaline,acetylcholine,BaCl2とPGF2αの収縮作用に対してはPGF2αの遅延効果は認められず,子宮平滑筋に特異的に現われることが解った.これらのことから,PGF2αの遅延効果はラット子宮のPGに対する反応性に特異的に起こるものであり,きらに卵胞ホルモンが重要な役割を演じていることが推察された.