日本薬理学雑誌
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糖質コルチコイド連続投与のマウス筋glycogenにおよぼす影響
小澤 光三浦 力佐藤 正
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1978 年 74 巻 3 号 p. 353-359

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抄録

ステロイドミオパチーの生化学的機序を解明する一環として,糖質コルチコイドの1回投与および連続投与がマウス骨格筋のglycogen量およびglycogen合成酵素活性に及ぼす影響を,肝のそれと比較し,検討した.得られた成績は次の通りである.1)Triamcinolone acetonide(TA,5mg/kg i.p.)の1回投与後,筋glycogen量は投与12時間後付近で最も高く,24時間前後に投与前のレベルに戻った.筋のglycogen合成酵素活性は,総活性が著しい変動を示さなかったが,I型活性とその総活性に対する割合はともに投与6時間後に一過性に増加した.これらの結果は肝においても同様に認められた.2)TAの1週間連続投与後,筋glycogenの蓄積は,1回投与によるそれに比べ著しく減弱した.またI型活性とその総活性に対する割合には増加が認められず,対照に比べむしろ減少した.これらの結果は肝においても同様に認められた.3)TAの1回投与,連続投与のいずれでも,対照に比べ血糖値はやや減少した.また筋組織中のglucose量には有意な変動は認められなかったが,G-6-P量は投与回数にかかわらず著しく増加した.以上の結果から,糖質コルチコイド連続投与によるマウス骨格筋におけるglycogen蓄積の減弱は,主にglycogen合成酵素系の異常に起因することが示唆された.

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