1979 年 75 巻 5 号 p. 419-423
従来の自記分光光度計のセル試料添加攪拌装置の欠点を克服する目的で,新しくインペラーと試料添加装置を一体化した,往復型インペラーによるセル自動試料添加攪拌装置を工夫した.ブレード型インペラーの往復運動回数21 strokes/sec, 往復運動距離8mm,ブレード面積0.5cm2の実験条件において, メチレンブルー10μl添加時のmixing timeは0.6secであった.ウサギ白筋より抽出したmyosin Bの超沈殿の実験に本装置を応用した.ATPの添加と攪拌を,a)手による振り混ぜ,b)manual mixing plunger, およびc)本装置によりそれぞれ行ない比較した.a,bいずれも初期反応の記録が中断されたが,cの場合は連続記録された.測定値の再現性の点でも手動式に比較してよい結果が得られた.本装置は材料が簡単に入手でき, 自作も容易でしかも費用も低廉である.インペラー駆動部を試料室外部に設置すれば, ほとんどの既製の自記分光光度計に応用が可能である.