日本薬理学雑誌
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ハトムギ成分 Coixol(6-methoxybenzoxazolone)の行動薬理学的ならびに脳波学的研究
五味田 裕市丸 保幸森山 峰博深町 紀美子内門 昭久荒木 泰典福田 保小山 鷹二
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1981 年 77 巻 3 号 p. 245-259

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抄録

ハトムギ Coix Lachryma-Jobi L. var. ma-yuen Stapf の主成分 coixol (6-methoxybenzoxazolone)の中枢神経作用を,行動薬理学的ならびに脳波学的に構造の類似した中枢性筋弛緩薬 chlorzoxazone のそれと比較検討した.なお coixol はすべて腹腔内に応用した.その結果,coixol は50~100mg/kg の投与により,ラットおよびマウスの自発運動量を著明に減少させ,また筋弛緩作用も認められ,さらに 100mg/kg の投与により,協調運動の障害も認められた.これらの作用強度は chlorzoxazone と同程度のものであった.また,coixol は50~100mg/kgの投与により,体温下降作用,thiopental 睡眠増強作用ならびに pentylenetetrazol けいれん抑制作用を示した.これらの作用は chlorzoxazone のそれよりも僅かに強力であった.さらに coixol はラットの脳内自己刺激行動に対し著明な抑制作用を示した.次に慢性電極を植込んだラットを用い脳波作用を検討した結果,coixol の 50~100mg/kg の投与により,行動上鎮静を示し,脳波上は傾眠パターンを示すラットが出現した.しかし chlorzoxazone の50~200mg/kg の投与ではこのような傾眠パターンは観察されなかった。coixol は音刺激による脳波覚醒反応を抑制したが,中脳網様体刺激による覚醒反応は抑制しなかった.以上の結果より,coixol の中枢神経に対する作用は chlorzoxazone のそれと質的に類似し,作用強度は僅かに強力であることが示唆された.

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