日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
新しい Histamine H2-受容体拮抗薬,Ranitidine の実験的急性胃・十二指腸潰瘍に対する効果
岡部 進国見 春代大槻 浩
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 77 巻 4 号 p. 397-406

詳細
抄録

新しい histamine H2-受容体拮抗薬,ranitidine は100~200mg/kg(i.d. または p.o.)の用量でラットの Shay 潰瘍,indomethacin 胃潰蕩,phenylbutazone 胃潰瘍,histamine-carbachol 十二指腸潰瘍およびモルモットの histamine 胃潰瘍の発生に対し著明な抑制効果を示した.ラットの水浸 stress 胃潰瘍,モルモットの histamine 十二指腸潰瘍に対しても有意の抑制は認められたが,抑制率は70%以下であった.cimetidine もラットの水浸 stress 胃潰瘍,indomethacin 胃潰瘍,phenylbutazone 胃潰瘍,モルモットの胃および十二指腸潰瘍の発生に対し,有意な抑制効果を示した、しかし Shay 潰瘍,histamine-carbachol 十二指腸潰瘍に対しては有意な抑制効果を認めなかった.histamine 投与モルモットの胃酸分泌に対してranitidine および cimetidine は抑制的に作用した,ラットの幽門結紮法による酸排出量に対しても ranitidine および cimctidine の100mg/kg(i.d.)はおのおの 79.6% および 50.7% 抑制した.しかし両薬物ともに胃液量,pcpsin 排出量に対しての効果は弱かった.ranitidine および cimetidine の抗潰瘍効果は主として胃酸排出量の抑制に基くと考えられる.但し,ranitidine は Shay 潰瘍は抑制したが,胃酸分泌は殆んど抑制していないことから,他の機序の関与も推定された.機序はともかく,ranitidine は cimetidine と同様に消化性潰瘍の治療薬として有用性が期待される.対照薬として使用した gefarnate は,phenylbutazone 胃潰瘍の発生に対しては 300mg/kg の用量で46.5%の有意の抑制をしたが,それ以外の潰瘍モデルに対しては,ほとんど効果は認められなかった.以上の結果から見て,諸種の実験潰瘍モデルにおける抗潰瘍作用の強さは,ranitidine≥cimetidine>gefarnate の順であった.

著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top