日本薬理学雑誌
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Neurotropinの免疫薬理学的作用(第1報)
免疫促進作用についての検討
柳原 行義信太 隆夫吉井 春夫
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1981 年 78 巻 5-6 号 p. 439-449

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抄録

vaccinia virusを接種したウサギ炎症皮膚組織抽出物であるNeurotropin (NSP) の免疫促進作用について検認した. NSP単独ではマウス脾細胞およびヒト末梢リンパ球 (PBL) に対してmitogenic activityを示さなかった.しかし, NSPはconcanavalin A (Con A) によるマウス脾細胞およびヒトPBLの幼若化を有意に促進したが, lipopolysaccharide (LPS) によるマウス脾細胞の幼若化に対しては促進的に作用しなかった.一方, 5μg/mlのmitomycin C (MMC) 前処置または100~500R照射したマウス脾細胞のCon Aによる幼若化の低下はNSPによって回復または回復傾向を示したが, 5~50μg/mlのMMC前処置または100~1000R照射したマウス脾細胞のLPSによる幼若化の低下はNSPによって回復しなかった.また, 50μg/mlのMMCを前処置したBDF1マウス脾細胞をstimulator cellとし,またC57BL/6マウス脾細胞をresponder cellとしたone-wayのmixed lymphocyte culture (MLC) 反応はNSPによって有意に促進された.また, 5~10μg/mlのMMC前処置または100~250R照射したresponder cellを用いたMLC反応の低下もNSPによって回復または回復傾向を示した.以上の結果から, NSPは非特異的mitogenのみならず,特異抗原によるT cellの幼若化を促進し,かつMMCや放射線照射によって低下したT cell機能をも賦活することが明らかとなった.

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