日本薬理学雑誌
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Eptazocine (l-1, 4-Dimethyl-10-hydroxy-2, 3, 4, 5, 6, 7-hexahydro-1, 6-methano-1H-4-benzazonine) の薬理作用
第3報Eptazocineの中枢作用
亀山 勉鍋島 俊隆山口 和政鎌田 勝雄奥山 茂辻久 直榊原 曩人
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1981 年 78 巻 5-6 号 p. 629-645

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抄録

eptazocine (l-1, 4-dimethyl-10-hydroxy-2, 3, 4, 5, 6, 7-hexahydro-1, 6-methano-1H-4-benzazonine) の中枢薬理作用を検討した,マウスにおいてeptazocineの低用量で鎮静,高用量で挙尾反応およびよろめき歩行がみられた.ラットにおいては鎮静はみられなかったが高用量ではよろめき歩行がみられた. eptazocineは回転籠運動量を用量依存的に減少させAnimex法における運動量を低用量ほど強く減少させた.一方,ラットのopen-field法におけるambulationは増加した. rotarod法, traction testにおいてeptazocineは用量依存的に筋統制機構の抑制を示し,ラットの筋電図における電位を低下させ,脊髄反射も抑制し,そのID50値は9.2mg/kg s. c.であった.さらに, eptazocineはマウスの正常体温を低下させ, pentobarbitalの睡眠作用を増強した.一方, pentylenetetrazol痙攣に対しても高用量で抑制を示した.また,電気刺激法によるマウスのfighting behaviorを用量依存的に抑制し, metamphetamineの中枢興奮作用も抑制した.しかし, eptazocineの鎮痛用量では脳波への影響は認められなかったが, shuttle box法およびskinner box法での回避反応を抑制した.以上の結果より, eptazocineは中枢神経系全般に対し非特異的な抑制作用を示すものと思われる.

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