日本薬理学雑誌
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Indapamideの正常および高血圧発症ラットにおける降圧利尿作用
森下 重義西村 憲一加藤 栄一白波瀬 弘明大隅 清明北尾 和彦赤 隆
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1982 年 79 巻 3 号 p. 137-146

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抄録

Indapamideの降圧作用を正常血圧,DOCA-saline高血圧,一側腎摘出DOCA-saline高血圧および自然発症高血圧ラット(SHR)を用いて検討し,さらに,本薬物の利尿作用を正常ラットおよびSHRにて検討した,また,本薬物の炭酸脱水酵素阻害作用についても実験を行なった.これらの実験には,trichlormethiazide(TCMT)を比較対照薬に用いた.正常血圧ラットにおいて,indapamideは100mg/kg 1回経口投与によっても降圧作用を示さなかった.DOCA-salineおよび一側腎摘出DOCA-salinc高血圧ラットでは,indapamideは1mg/kgより軽度の血圧下降を,3mg/kg投与では明らかな降圧作用を示した.TCMTは3mg/kg以上の投与により血圧降下を示した.一側腎摘出DOCA-saline高血圧ラットにおける2週間連日経口投与ではindapamideは1.0mg/kg/day,TCMTは3.0mg/kg/dayから降圧作用を示した.SHRにおいて,indapamideは1回経口投与で10mg/kgから降圧作用を示し,その作用はTCMTとほぼ同程度であった.2週間連日経口投与ではindapamideは3mg/kg/day,TCMTは10mg/kg/dayから降圧作用を示した.正常ラットにおける利尿作用は,経口投与でindapamideは0.1mg/kg,TCMTは0.03mg/kgよりみられ,共に増量により利尿効果は著明となった.SHRにおける利尿作用は,indapamide,TCMT共に0.3mg/kg以上の用量で明らかであり,尿量およびNa+排泄量は正常ラットの場合より増大した.indapamideは,in vitro, in vivoいずれにおいても軽度の炭酸脱水酵素阻害作用を示し,in vitroにおける作用はacetazolamideの約1/25であった.有効用量から比較すれば,降圧作用ではindapamideはTCMTの約3倍の強さを示したが,利尿作用ではindapamideがTCMTと同等もしくはやや弱かった.これらの結果は,indapamideの著明な降圧効果には利尿作用以外の機序が関与していることを示唆するものである.

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