日本薬理学雑誌
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Lisuride hydrogen maleateの一般薬理作用 ―摘出器官,特に平滑筋に対する作用―
船木 比佐子時頼 由香里原 公生押野 臨
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1982 年 80 巻 5 号 p. 349-365

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抄録

摘出臓器を用いて,lisuride hydrogen maleate(lisuridc)の薬理作用を検討した.1) lisurideは2.2μMの濃度でモルモット心房の拍動数を有意に抑制し,この作用はsulpiride(2.9μM)で完全に拮抗された.2) 抗α-adrenaline作用(ID50:64nM),抗β-adrenaline作用(ID50:26μM)がそれぞれラット輸精管,ウサギ気管で観察された.前者はphentolamineとほぼ同じ程度の力価で競合拮抗を示した.後者はpropranololと比較して30分の1の力価にすぎなかった.3) 抗5-hydroxytryptamine作用(ID50:11nM),抗histamine作用(ID50:15nM)がそれぞれラット胃底部,モルモット回腸で認められた.どちらもそれぞれmethysergide,diphenhydramineと同程度の力価であった.4) 麦角アルカロイド様作用として,平滑筋収縮作用がウサギ腎動脈,モルモット回腸でみられ,またモルモット心房では陽性変力作用がみられた.子宮に対する刺激作用は,ラットで検討したところまったく観察されなかった.以上の成績から,lisurideは既知の中枢への作用に加えて,強い末梢抗5-hydroxytryptamineおよび抗histamine作用を有すると結論された.

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