日本薬理学雑誌
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Piroxicamのアレルギー性炎症に対する作用
阿部 典生田中 啓一金岡 桂子江川 美保子渡辺 勲平井 嗣郎
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1983 年 81 巻 5 号 p. 431-440

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抄録
piroxicamのアレルギー性炎症に対する抗炎症作用を,ラットのアレルギー性気嚢炎症および抗原惹起型関節炎で検討した.piroxicamはアレルギー性気嚢炎症において,滲出液の貯留,細胞浸潤およびlysosome酵素の遊離を1~10mg/kg,p.o.で用量依存的に抑制した.この作用はいずれもindomethacinより強く,prednisoloneと同程度であった.しかし,非アレルギー性気嚢炎症に対しては,prednisoloneのみが強い抑制作用を示し,piroxicamの作用はindomethacinと同様に弱いものであった.また,抗原惹起型関節炎においても,piroxicamは関節部の腫脹,関節機能障害,さらに,関節液中の蛋白量およびlysosome酵素の上昇を0.3mg/kg,p.o.以上の用量で著明に抑制し,この作用はindomethacinおよびprednisoloneと比較して3~4倍強力であった.非アレルギー性のcroton油誘発関節炎に対する作用は,indomethacinおよびprednisoloneと同程度の効力であった.さらに,ラットheterologous PCA反応に対して,piroxicamはindomethacinより明らかに強い抑制作用を示したが,histamineおよびbradykininによる皮内反応に対してはわずかな抑制作用を示したにとどまった,一方,piroxicamはマウスの抗体産生能や遅延型アレルギーに対してほとんど影響を及ぼさず,抗補体作用も示さなかった.以上の成績から,piroxicamはアレルギー性炎症に対して,よりすぐれた効果を有することが示唆され,その作用機序として炎症性細胞の諸機能に対する作用が考えられる.
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