日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
ラット血漿尿酸値におよぼす数種薬物の影響 ―Catecholaminesとβ-遮断薬の作用―
杉野 陽子鹿児島 正豊片桐 鎮夫
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 84 巻 3 号 p. 293-301

詳細
抄録

無処置ラットおよびoxonate前処置ラットの血漿尿酸値におよぼすcatecholamiaesの影響について検討した.ラットの血漿尿酸値とアラントイン値は,epincphrine,phenylephrineおよびisoproterenolの静脈内投与で上昇した.norepinephrine投与では極く弱い上昇が見られた.両値上昇作用の強さはepinephrine>isoproterenol>phenylephrine>norepinephrineであった.また,各種β作用薬の尿酸値上昇作用の強さはisoproterenol≈salbutamol≈trimetoquinol>terbutalineであり,アラントイン値上昇作用の強さはisoprotcrenol≈salbutamol ?? trimetoquinol>terbutalineであった.oxonate前処置ラットにおいても,これらのβ作用薬50μg/kg静脈内投与による血漿尿酸値上昇作用の強さはisoproterenol≈salbutamol≈trimetoquinol>terbutalineであることが認められ,その作用はpropranolol 2.0mg/kg静脈内投与で完全に遮断された.さらに,oxonate前処置ラットにおいてisoproterenol 50μg/kg静脈内投与で見られた血漿尿酸値上昇作用はatenolol 1.0mg/kg併用では全く遮断されず,butoxamine 1.0mg/kg併用で有意に遮断された.以上の成績から,catecholaminesの血漿尿酸値上昇作用は,主としてβ2受容体を介するものであることが示唆された.

著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top