日本薬理学雑誌
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Ifenprodil tartrateのIn vitroおよびEx vivoにおけるウサギ血小板凝集抑制作用
入野 理斉藤 清林 俊宏大久保 一三
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1985 年 85 巻 5 号 p. 379-385

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抄録

in vitroおよびex vivo血小板凝集に対するdl-erythro-4-benzyl-α-(4-hydroxyphenyl)-β-methyl-1-piperidine-ethanol tartrate(ifenprodil tartrate)の作用についてウサギを用い検討した.ifenprodil tartrateはin vitroでのADP凝集,collagen凝集,epinephrine凝集を著しく抑制した.また,血小板からの5-hydroxytryptamine放出を著明に抑制し,血小板への5-hydroxytryptamine取り込みも抑制した.これらifenprodil tartrateのウサギ血小板機能に対する作用はimipramineと類似した作用であることから血小板膜安定化作用に起因している可能性が考えられた.一方,ifenprodil tartrateを経口投与したウサギの最高血漿中ifenprodil濃度は20 ng/mlであり,これはin vitroでの作用発現最低濃度の約1/40であった.それにもかかわらずこの濃度でex vivo ADP凝集の著しい抑制が認められた.このことからex vivoでの血小板凝集抑制作用発現には,ifenprodilの血小板への直接的な作用以外の要因,例えぽ内因性抗血小板作用物質であるPGI2など,が関与する可能性が考えられた.そこで,ifenprodil tartrateの血管PGI2放出に及ぼす影響および血小板凝集抑制におけるPGI2との相互作用を検討した.ifenprodil tartrateは血管からのPGI2放出にほとんど影響を与えなかった.しかし,PGI2の存在によりifenprodil tartrateの血小板凝集抑制作用は著明に増強された.したがってex vivoでは内因性PGI2との相互作用により低濃度のifenprodilで血小板凝集抑制作用を発現したものと考えられた.

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