1985 年 85 巻 5 号 p. 367-378
抗潰瘍作用が見出された新規化合物2-(nicotinoylaminoethanesulfonylamino)pyridine(NTP)について,体内動態と本作用との関係について研究を行なった.本化合物NTPと体内変化体2-(aminoethanesulfonylamino)pyridine(TP)を2つの実験潰瘍モデルを用い検討した結果,その抗潰瘍作用は,NTPそれ自身による作用であることがわかった.家兎を用い,NTPの生体内変化を検討した結果,家兎にNTPを経口投与した場合,未変化体NTPと共に若干の代謝物であるTPが,血漿中およびリンパ液中に確認された.また,家兎にNTPを経口投与し,臓器内分布を調べた結果,投与7時間後までには,各臓器にかなりのNTPとその代謝物であるTPの分布が見られた.本薬理実験の結果と生体内変化の結果を併せて考えると,NTPの薬理効果は,主として未変化体NTPの効果であることがわかった.