日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
1. SHR, DOC/saline高血圧ラットにおける抗高血圧作用
新抗高血圧薬Pinacidilに関する薬理学的研究
松田 三郎上田 元彦
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 86 巻 5 号 p. 341-351

詳細
抄録

無麻酔SHRおよびDoc/saline高血圧ラットの尾動脈収縮期圧を29~30°C の温度条件でtail cufr法により測定し,pinacidil(PND)の抗高血圧作用をhydralazine(HDL)およびnifedipine(NFD)の作用と比較した.1) 雄性SHRにおいては単回投与時にPND 1 mg/kg(p.o.)から用量依存性の急性降圧作用が認められ,投与後6時間までの降圧効果をHDL,NFDと比較するに,PND(1.0)に対するHDL,NFDの効力比はそれぞれほぼ0.8,0.3であった.2) 雌雄SHRにおけるHDLlの降圧作用は同程度だったが,PNDとNFDの降圧作用は雌性SHRでより強く認められた.3) PNDを1日1回連続5週間,雄性SHRおよびDOC/saline高血圧ラットに経口投与するに,1 mg/kgから用量依存性の降圧作用が5週間にわたってほぼ一定して認められた.組織重量,血漿,心筋および胸部大動脈内電解質量はPNDの5週間連続投与によってもほとんど影響を受けなかった.以上の結果から,PNDの抗高血圧作用はHDL,NFDに比べてやや強く,連続投与によっても耐性が認められないことが確認された.しかしDOC/saline高血圧ラットにおける腎臓の各種病理所見(動脈壁の肥厚,硝子化等)はPND,HDLの連続投与によっても改善されなかった.

著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top