日本薬理学雑誌
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86 巻, 5 号
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  • 寺澤 道夫, 今吉 朋憲, 丸山 裕, 安倍 千之
    1985 年 86 巻 5 号 p. 329-340
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    traxanoxは従来の急性および亜急性炎症モデルであるcarrageenin足浮腫,紫外線紅斑,6時間Evans blue-carrageenin(E-C)胸膜炎およびcotton pellet肉芽腫形成を抑制せず,in vitroで菌貧食による白血球からのprostaglandin E2およびslow reacting substance産生を阻害しなかった.一方,traxanoxはアナフィラキシー様反応を抑制し,24時間E-C胸膜炎の胸水量を減少させた.また,traxanox(100 mg/kg, p.o.)はdextran浮腫およびadjuvant arthritis(AA)ラットでのcotton pellet肉芽腫形成を抑制する傾向を示した.遅延型過敏症モデルに対して,traxanox(100 mg/kg, p.o.)はB. pertussisによる胸膜炎の滲出液の貯留および白血球の遊走を抑制した.Lewisラットを用いたAAに対して,traxanox(50 mg/kg, p.o.)はadjuvant接種後21日間の経口投与で抑制作用を示さないが,hydrocortisone(10 mg/kg, p.o.)およびindomethacin(0.25 mg/kg, p.o.)との併用では,これらの薬物の抗AA作用を増強した.Adjuvant接種前21日からの投与では,traxanox(50~100 mg/kg, p.o.)は用量に依存してAAを抑制した.一方,traxanox(100 mg/kg, p.o.)はモルモットでのconcanavalin Aによる遅延型過敏症類似皮膚反応を増強した.これらの結果から,traxanoxの炎症反応に対する作用態度はD-penicillamineやlevamisoleに類似することが明らかにされ,本化合物のリウマチ関節炎に対する臨床効果が期待される.
  • 新抗高血圧薬Pinacidilに関する薬理学的研究
    松田 三郎, 上田 元彦
    1985 年 86 巻 5 号 p. 341-351
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    無麻酔SHRおよびDoc/saline高血圧ラットの尾動脈収縮期圧を29~30°C の温度条件でtail cufr法により測定し,pinacidil(PND)の抗高血圧作用をhydralazine(HDL)およびnifedipine(NFD)の作用と比較した.1) 雄性SHRにおいては単回投与時にPND 1 mg/kg(p.o.)から用量依存性の急性降圧作用が認められ,投与後6時間までの降圧効果をHDL,NFDと比較するに,PND(1.0)に対するHDL,NFDの効力比はそれぞれほぼ0.8,0.3であった.2) 雌雄SHRにおけるHDLlの降圧作用は同程度だったが,PNDとNFDの降圧作用は雌性SHRでより強く認められた.3) PNDを1日1回連続5週間,雄性SHRおよびDOC/saline高血圧ラットに経口投与するに,1 mg/kgから用量依存性の降圧作用が5週間にわたってほぼ一定して認められた.組織重量,血漿,心筋および胸部大動脈内電解質量はPNDの5週間連続投与によってもほとんど影響を受けなかった.以上の結果から,PNDの抗高血圧作用はHDL,NFDに比べてやや強く,連続投与によっても耐性が認められないことが確認された.しかしDOC/saline高血圧ラットにおける腎臓の各種病理所見(動脈壁の肥厚,硝子化等)はPND,HDLの連続投与によっても改善されなかった.
  • 北谷 照雄, 林 昌亮, 坂口 孝
    1985 年 86 巻 5 号 p. 353-358
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    pentoxifylline(PTX)と5-hydroxytryptamine(5-HT)の前駆物質とを組合わせて投与した時の,マウス行動変化あるいは脳内5-hydroxytryptophan(5-HTP),5-HT,5-hydroxyindoleacetic acid(5-HIAA)含量について検討した.PTX 100 mg/kgの腹腔内投与は,pargyline(100 mg/kg, i.p.)前処置後5-HTP(25 mg/kg, i.p.)で誘発される首振り反応回数を有意に増加させ,また,その作用強度は同量の他のmethylxanthineを投与した場合の約2倍であった.この時,脳内5-HTP,5-HT,5-HIAA含量は有意に増加した.しかしながら,PTXそれ自身は首振り反応を惹起せず,また,脳内インドール化合物含量を変化させなかった.さらに,pargyline前処置後,tryptophan(100 mg/kg, i.v.)を投与した時のインドール化合物含量にPTXは影響を及ぼさなかった.以上の実験成績は,PTXがmethylxanthine誘導体に共通する5-HT代謝亢進作用以外に,exogenousに投与された5-HTPの脳内への移行を充める作用を有する可能性が示唆された.
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