1988 年 91 巻 2 号 p. 81-89
エラジン酸誘発血栓家兎およびラウリン酸誘発末梢壊疽ラットに対するEPA-Eの有効性を検討し,その作用機序を検索した.1)エラジン酸誘発血栓家兎において,EPA-E300mg/kgの経口投与は血栓形成を有意に抑制した.100mg/kg経口投与では抑制傾向を示した.2)エラジン酸誘発血栓家兎において,エラジン酸投与後の血液凝固・線溶能,血小板凝集能,血液粘度および洗浄赤血球フィルター通過時間の経時変化を検討した.EPA-E 300mg/kg経口投与はエラジン酸投与後の凝固亢進状態を抑制し,5分後あるいは3時間後では有意な作用であった.エラジン酸投与5分および3時間後のアラキドン酸誘発血小板凝集閾値は増大したが,EPA-Eの作用は認められなかった.エラジン酸投与後の線溶活性,血液粘度および洗浄赤血球フィルター通過時間に対して,EPA-Eの作用はほとんど認められなかった.3)ラウリン酸誘発末梢壊疽ラットにおいて,EPA-E 30mg/kgの4週間連続経ロ投与は閉塞下肢の乾性壊疽を有意に抑制した.以上のように,EPA-Eは家兎エラジン酸誘発血栓およびラットラウリン酸誘発末梢壊疽に対し奏効した.