日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
脳機能改善薬 Bifemelane の神経化学的研究
(第1報)正常ラット脳の神経伝達機構に関連した各種受容体及び酵素活性に対する影響
江頭 亨永井 敬之金馬 義平高野 律子小畑 俊男山中 康光
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 93 巻 5 号 p. 295-304

詳細
抄録
正常ラット脳に対する脳機能改善薬 bifemelane の効果を神経化学的に検討した.塩酸 bifemelane(BF)10,30mg/kgを雄性ラット(7週齢)に4週間連続経口投与した.脳を前脳,大脳+上部脳幹,下部脳幹+延髄および小脳に分割し,それぞれP2分画を調整し,種々受容体および酵素活性を測定した.ムスカリン受容体(mACh-R)はBF 10 および 30mg/kg投与の前脳部で,KdおよびBnax値の低下が認められた.しかし,β-受容体(β-AdR)および imipramine 結合部位では有意な変化は認められなかった.一方,BF 10,30mg/kg投与の前脳部でA型 monoamine oxidase(MAO)の Km および Vmax 値の減少が,B型 MAO では,30mg/kg投与で,すべての部位でKmおよびVmax値が減少した.しかし,acetylcholinesterase(AChE)およびcholine acetyltransferase(CAT)活性には有意な変化は認められなかった.1μMの BF 添加で mACh-R,β-AdR,imipramine 結合部位への結合能および MAO 活性は,それぞれ60%,20%,70%および50%阻害された,しかし,AChE および CAT 活性には,何等影響は認められなかった.又,これらの効果は前脳部で著明であった.
著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top