抄録
streptozotocin(STZ,75mg,i.p.)により惹起された糖尿病ラットの腎,血清および尿中における maltase 活性の経時的変動を測定し,同じライソゾーム酵素である N-acetyl-β-D-glucosaminidase(NAG)活性の動態と比較検討した.さらに,STZ糖尿病ラットにインスリンを投与し,NAG と maltase 活性におよぼすインスリンの効果についても検討を行った.STZ投与24時間以内の初期過程においてインスリンの分泌が低下すると血清 maltase 活性は上昇し,分泌が亢進すると血清 maltase 活性は逆に低下した.しかし,血清インスリン値と腎 maltase 活性および血清と腎の NAG 活性との間には一定の傾向を認めることはできなかった,また,BUN 値は STZ 投与初期において変化は認められなかったが,投与3週目から有意な上昇が認められた.この時期におけるインスリソの分泌は有意な低下を示し,血清 maltase 活性は,急激な上昇を示した.これに対し腎 maltase 活性は3週目に著しい低下が認められたことから,STZ 投与による腎の機能の低下にともなう腎からの maltase の遊離が推察された.また,NAG 活性についてもほぼ同様な結果が得られた,さらに,STZ 投与1日後から20日間インスリンを連続皮下投与したところ,血清中および腎の NAG 活性は非インスリン投与に比べ活性は有意に低下し,対照値まで回復している.BUN 値もインスリン投与により回復をした.しかし,血清および腎の maltase 活性の場合,イソスリン投与により血清値は低下したものの腎の maltase 活性は対照値に比べ逆に高い値を示した.また,STZ 投与直後から8週目までの血清および尿中における NAG と maltase 活性との間に有意な正の相関が認められた.