日本薬理学雑誌
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ラット胃粘膜培養細胞の増殖に対する各種抗潰瘍薬の作用
内田 勝幸西村 直行三崎 則幸五十嵐 康子小林 美香河野 修
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1990 年 95 巻 4 号 p. 185-190

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抄録

ラット培養胃粘膜細胞の増殖に対する抗潰瘍薬およびPGE2の効果を3H-thymidineの取り込みを指標に検討した.fetal bovine serum(FBS)の代わりに人工血清であるULTROSER®Gを用いた場合,1~4%の濃度範囲で濃度依存的に3H-thymidineの取り込みは増加し,培養開始36時間目にピークを示した.また,その取り込み量は10%FBSを用いた場合よりも多かった.そこで,2%ULTROSER®Gを用い36時間目に薬物効果を検討した.aldioxa,cetraxate HCl,cimetidine(10-7~10-5M)およびPGE2(10-8~10-6M)は単独ではいずれも増殖促進効果を示さなかった.indomethacinは0.35~1.41×10-3Mの用量範囲で濃度依存的に増殖抑制効果を示した.aldioxa10-5M(P<0.01),cetraxate HCl 10-5M,PGE2 10-8Mおよび10-6M(P<0.05)はindomethacin0.5×10-3M(ほぼ50%の抑制用量)の増殖抑制に対しそれぞれ有意な拮抗作用を示したが,cimetidineは有意な拮抗作用を示さなかった.したがって,胃粘膜培養細胞を用いることで細胞増殖に対する薬物の影響を評価することが可能と考えられた.

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