日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
Dehydroepiandrosterone sulfate(DHA-S)膣坐薬の薬理学的研究
山下 明大島 慎也松尾 呼野美伊藤 敬三伊東 晃森 陽
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 98 巻 1 号 p. 31-39

詳細
抄録

dehydroepiandrosterone sulfate(DHA-S)を含有する坐薬を,妊娠ラットの膣内に投与し,子宮頸管熟化作用を検討した.5,10および20%(w/w)DHA-Sを含む100mgの坐薬を,妊娠14~16日目の3日間,1日1回膣内に投与し,子宮頸部の湿重量,含水率ならびに伸展性に対する作用を検討した.また子宮頸部のコラーゲン含量とコラーゲナーゼ活性の測定,および子宮頸部の組織化学的検索をあわせて行った.基剤のみを投与した対照群に比較して,5,10および20%DHA-S膣坐薬投与群では,子宮頸部の湿重量ならびに含水率が用量に相関して増加した.子官頸部の伸展性の試験では,20%DHA-S膣坐薬投与群で,一定距離を牽引した時に発生する張力が有意に減少し,また,一定張力が発生するまでに伸展する距離は有意に増加した.さらに,20%DHA-S膣坐薬の投与により,子宮頸部コラーゲン量の低下と総コラーゲナーゼ活性の上昇が見られ,また組織化学的な観察ではコラーゲン線維の粗霧化と水腫化がみられた.以上の結果から,DHA-S膣坐薬投与により,静脈内投与の場合と同様に,子宮頸管熟化作用が発現すると推察された.

著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top