低分子量heparin(FR-860)および各種抗凝固薬のラット播種性血管内凝固症候群(DIC)モデルにおける効果について比較検討した.endotoxin誘発DICモデルにおいてFR-860(12.5~200U/kg/hr)および通常hepadn(25~200U/kg/hr)は用量依存的に血小板数,フィブリノーゲン量,アンチトロンビンIII活性およびα
2-プラスミンインヒビター活性の減少を抑制し,フィブリン分解産物濃度および腎糸球体血栓形成率の上昇を抑制した.一方,FOY(10mg/kg/hr)およびFUT(0.1mg/kg/hr)はendotoxin誘発DICに効果を示さなかった.また,FR-860は通常heparinと同等な血漿中抗ファクタ-Xa(F.Xa)活性を示したが,FR-860の活性化部分トロンボプラスチン時間延長作用は通常heparinに比較して軽度であった.thrombin誘発DICモデルにおいてFR-860および通常heparinはendotoxin誘発DICモデルの際と同様に凝固・線溶系に対して改善作用を示し,さらに肺血栓形成率も抑制した.しかし,FOYおよびFUTの凝固・線溶系に対する改善効果は弱かった.さらに,1acticacid誘発DICモデルにおいても線溶系亢進および肺血栓形成に対してFR・860は抑制作用を示した.以上のごとく,FR-860はラットDICモデルにおいて,通常heparinおよび他の抗凝固薬に比較して同等またはそれ以上の効果を示し,その効果は抗F.Xa活性に依存していた.これらのことよりFR-860はDICの治療に有用と考えられる.
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