日本薬理学雑誌
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98 巻 , 1 号
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  • 柴田 洋伸, 古沢 忍, 川内 廣明, 佐々木 健一, 高柳 義男
    1991 年 98 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    癌細胞の抗癌剤に対する感受性の低下を防止し,その耐性を改善する目的で,レセルピンを用いてアントラサイクリン系抗癌剤に対する作用をin vitroで検討した.レセルピン(1μg/ml)はドキソルビシン耐性マウスP388白血病(P388/DOX)細胞に対してドキソルビシンおよびその新規誘導体ピラルビシンの殺細胞作用を強め,耐性を改善させた.しかし,レセルピンは感受性細胞に対してはこのような影響は認められなかった.レセルピンはP388/DOX細胞内へのドキソルピシンおよびピラルビシンの取り込みを著しく増大させ,それはドキソルビシンよりもピラルビシンで大きかった.なお,この影響にはレセルピンの接触時間が大きく関与することを認めた.P388/DOX細胞に一旦取り込まれたピラルビシンの細胞外排出量は,ドキソルビシンの場合と比べ非常に大きかった.この耐性細胞からのピラルビシンおよびドキソルビシンの排出はいずれもレセルピンにより著しく抑制された.耐性細胞に対するドキソルビシンおよびピラルビシンの殺細胞作用のレセルピンによる修飾は,細胞膜の排出機構の亢進に対し抑制的に作用し,細胞内の薬剤濃度を増加させたことが関係しているものと思われる.
  • 西村 一, 沖山 雅彦, 藤原 肇, 工藤 眞理子, 清水 真由美, 前田 真理子, 山田 眞由美, 年光 芳信
    1991 年 98 巻 1 号 p. 7-21
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    SN-408の気管支拡張作用および関連した薬理作用をisoproterenol,salblltamolおよびprocaterolと比較検討した.SN-408はモルモット摘出気管において濃度依存性の弛緩作用を示し(EC50は約1nM),この作用は内因性力テコ―ルアミンの枯渇には影響されず,propranoldにより拮抗された.弛緩作用の強さは,procaterol>SN-408≥isoproterenol>salbutamolの順であるが,SN-408による弛緩作用の持続時間は他のβ-agonistsに比べてはるかに長かった.モルモット摘出右心房ならびに摘出左心房におけるSN-408の陽性変時作用および陽性変力作用は他のβ-agonistsに比較して弱く,SN-408の10μMにおける作用はisoproterenolの最大作用のそれぞれ26.8%および5.5%にすぎなかった.モルモット摘出肺組織において,SN-408はcyclic AMP量を濃度依存性に増加した.一方in vivoにおいては,histamine,serotoninあるいはacetylcholineによるモルモット気道収縮反応をSN-408は静脈内投与により用量依存性に減少した.また,SN-408の吸入投与はhistamine,acetylcholineさらに抗原噴霧によるモルモット喘息症状の発現時間を用量依存性に延長した.気管支拡張作用の強さは,procaterol>isoproterenol>SN-408>salbutamolの順であるが,SN-408の作用持続時間は他のβ-agonistsよりもはるかに長かった.SN-408を30日間連続吸入投与しても気管支拡張作用に耐性の発現を示す証拠は認められなかった.SN-408はモルモットにおいて静脈内投与および吸入投与により用量依存性の心拍数増加作用を示したが,SN-408の影響は軽度であり,特に,吸入投与では気管支拡張作用量(EC50値)の30~50倍の高用量においても僅かな心拍数増加を示しただけであった.マウスにおいて,SN-408の静脈内投与は酢酸による血管透過性亢進を抑制した.以上の結果はSN-408が作用の持続が長くかつ選択的なβ2-作動性の気管支拡張薬であることを示している.
  • 六車 恵子, 中牟田 弘道, 辻 正樹, 柳田 和則, 小井田 雅夫, 前田 博, 萬野 賢児, 奈良間 功, 小川 保直, 平松 保造
    1991 年 98 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    マウスの両側総頸動脈結紮(BCAO)によって起こる脳内の生化学的および病理組織学的変化を調べ,BCAOによる致死機構にっいて,虚血モデルとの比較をおこなった.1)雄性ddY系マウス(N=86)は結紮により52%が10分以内に,6%は60分以内に死亡,残りの42%は60分後に両側総頸動脈を切断しても大半がさらに60分以上生存した.2)雄性ICR系マウス(N=96)では77%が10分以内に死亡し,この間の平均生存時間はddY系に比較して短いが,8%は60分以上生存した.3)BCAO後の神経症状として眼瞼下垂,嗜眠,傾斜,回転運動,痙攣が現れた.これらの症状は片側のみの総頸動脈結紮群(N=33)にも70%の高率で現れ,病理組織学的所見でも大脳における浮腫の発生およびアンモン角の神経細胞の虚血性変化が認められた.4)脳内のATPとゲルコース含量は,BCAO後10分以内死亡群でいずれも低下したが,60分以上生存群では変化しなかった.両含量は無処置の断頭放置脳でも時間と共に低下したが,グルコースの低下はBCAOによる死亡群ほど著明ではなかった.一方,CO吸入群では,ペントバルビタール前処置で8分以上生存した場合,両含量ともにむしろ増加し,8分以内死亡例では変化せず,またエーテル吸入致死群でも変化しなかった.5)BCAO後10分以内死亡群と断頭後放置群で,アセチルコリン含量は低下,コリン含量は増加した.60分生存群では両含量ともに変化しなかった.以上の結果は,1)BCAOによる短時間内の致死はおそらく脳虚血に起因するが,致死率や致死時間などの指標は系統間や個体間で大きく変動するので,薬物効果のスクリーニンゲに用いるには注意を要すること,2)BCAOの致死機構はCOやエーテル吸入による致死機構と生化学的に異なっていることを示唆している.
  • 山下 明, 大島 慎也, 松尾 呼野美, 伊藤 敬三, 伊東 晃, 森 陽
    1991 年 98 巻 1 号 p. 31-39
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    dehydroepiandrosterone sulfate(DHA-S)を含有する坐薬を,妊娠ラットの膣内に投与し,子宮頸管熟化作用を検討した.5,10および20%(w/w)DHA-Sを含む100mgの坐薬を,妊娠14~16日目の3日間,1日1回膣内に投与し,子宮頸部の湿重量,含水率ならびに伸展性に対する作用を検討した.また子宮頸部のコラーゲン含量とコラーゲナーゼ活性の測定,および子宮頸部の組織化学的検索をあわせて行った.基剤のみを投与した対照群に比較して,5,10および20%DHA-S膣坐薬投与群では,子宮頸部の湿重量ならびに含水率が用量に相関して増加した.子官頸部の伸展性の試験では,20%DHA-S膣坐薬投与群で,一定距離を牽引した時に発生する張力が有意に減少し,また,一定張力が発生するまでに伸展する距離は有意に増加した.さらに,20%DHA-S膣坐薬の投与により,子宮頸部コラーゲン量の低下と総コラーゲナーゼ活性の上昇が見られ,また組織化学的な観察ではコラーゲン線維の粗霧化と水腫化がみられた.以上の結果から,DHA-S膣坐薬投与により,静脈内投与の場合と同様に,子宮頸管熟化作用が発現すると推察された.
  • 山本 経之, 柴田 重信, 手島 浩慈, 井上 善文, 牛尾 真寿子, 冨永 恵子, 大野 益男, 渡辺 繁紀, 植木 昭和
    1991 年 98 巻 1 号 p. 41-52
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    5-HT1A partial agonist ipsapironeの作用特性につき行動薬理学的ならびに脳波学的観点から検討し,セロトニン(5-HT)系抗不安薬buspironeおよびベンゾジアゼピン(BDZ)系抗不安薬diazepamのそれと比較した.1)ipsaphoneはbuspironeとほぼ同程度の抗コンフリクト作用を示したが,その作用はdiazepamに比べて弱かった.2)diazepamによる抗コンフリクト作用はBDZレセプター拮抗薬Ro15-1788により拮抗されたが,ipsapironeによるそれは拮抗されなかった.3)中脳縫線核破壊ラットおよび嗅球摘出ラットのmuricideはipsapironeにより抑制された.ipsapironeによるmllricide抑制作用は反復投与により減弱した.4)ipsaphoneやbuspironeの協調運動障害作用はdiazepamのそれより極めて弱かった.またethanolによる協調運動障害に対するipsapironeの増強作用はdiazepamのそれより弱かった.5)diazepamはpentylenetetrazol誘発けいれんを抑制したが,ipsapkoneおよびbusphoneはこのような抗けいれん作用を示さずにむしろ軽度増強させる傾向があった.6)diazepamはウサギの扁桃体および海馬刺激による後発射の持続時間を減少させたが,ipsapironeとbusphoneはこれらの部位の後発射の持続時間を軽度増加させた.以上,ipsapironeはBDZレセプタ―を介さない抗コンフリクト作用を有し,また協調運動障害作用やethanol増強作用が極めて弱い点で,diazepamとは作用態度を異にすることがわかった.ipsapironeはこの点で臨床上副作用の比較的少ない,選択性の高い抗不安薬(anxioselective anxiolytic)としての可能性が示唆された.
  • 浜野 修一郎, 衣川 眞弓, 小松 英忠, 宮田 廣志, 桜川 信男
    1991 年 98 巻 1 号 p. 53-62
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    低分子量heparin(FR-860)および各種抗凝固薬のラット播種性血管内凝固症候群(DIC)モデルにおける効果について比較検討した.endotoxin誘発DICモデルにおいてFR-860(12.5~200U/kg/hr)および通常hepadn(25~200U/kg/hr)は用量依存的に血小板数,フィブリノーゲン量,アンチトロンビンIII活性およびα2-プラスミンインヒビター活性の減少を抑制し,フィブリン分解産物濃度および腎糸球体血栓形成率の上昇を抑制した.一方,FOY(10mg/kg/hr)およびFUT(0.1mg/kg/hr)はendotoxin誘発DICに効果を示さなかった.また,FR-860は通常heparinと同等な血漿中抗ファクタ-Xa(F.Xa)活性を示したが,FR-860の活性化部分トロンボプラスチン時間延長作用は通常heparinに比較して軽度であった.thrombin誘発DICモデルにおいてFR-860および通常heparinはendotoxin誘発DICモデルの際と同様に凝固・線溶系に対して改善作用を示し,さらに肺血栓形成率も抑制した.しかし,FOYおよびFUTの凝固・線溶系に対する改善効果は弱かった.さらに,1acticacid誘発DICモデルにおいても線溶系亢進および肺血栓形成に対してFR・860は抑制作用を示した.以上のごとく,FR-860はラットDICモデルにおいて,通常heparinおよび他の抗凝固薬に比較して同等またはそれ以上の効果を示し,その効果は抗F.Xa活性に依存していた.これらのことよりFR-860はDICの治療に有用と考えられる.
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