1992 年 99 巻 1 号 p. 13-18
ピリドンカルボン酸系合成抗菌薬のうちニューキノロン抗菌薬6種と非ステロイド系抗炎症薬8種とを併用した際のマウスの行動変化を観察した.fenbufen100mg/kgの経口投与5分後に各ニューキノロン抗菌薬10~1000mg/kgを経口投与した.用いたニューキノロン抗菌薬のうちenoxacin,norfloxacin,lomefloxacinは用量依存的に痙攣を発現した.痙攣死する時間を指標に各ニューキノロン抗菌薬の強さを比較すると,enoxacin>lomefloxacin>noraoxacinの順であった.なお,ofloxacin,ciprofloxacin,tosufloxacinでは1000mg/kgを併用しても痙攣死は見られなかった.非ステロイド系抗炎症薬をenoxacin100mg/kgと併用した際の痙攣誘発効果は,fenbufen>flurbiprofen>ketoprofen=pranoprofenの順に強く,ibllprofenは1000mg/kgまで併用しても痙攣は誘発されなかった.またindomethacin,asphinまたはmefenamic acidの併用でも痙攣は誘発されなかった.以上の結果から,ニューキノロン抗菌薬とfenbufenを併用した際の痙攣発現にはニューキノロン抗菌薬の母核の1位の置換基が重要な役割を演じていることを考察した.