抄録
人間は,睡眠と覚醒,弛緩と緊張等を柔軟に使い分け,限られた脳の資源を効率良く利用しつつ,並列処理を行う.本研究は,このような柔軟な情報処理系を有する知覚情報処理系の構築を目指し,人間の意識状態,特に睡眠/覚醒状態を表現する数理AIMモデルを提案し,ロボットビジョンに適用してきた.本報告では,作動/短期/長期記憶から構成される記憶機能をビジョンシステムに追加する.各記憶はそれぞれ顕在記憶と潜在記憶から構成される.作動記憶は数秒間の視覚情報を記憶する.視覚センサから画面変化等の刺激を受けると,顕在短期記憶に記憶し,刺激が無い場合,潜在短期記憶に視覚情報を記憶する.睡眠状態では,短期記憶領域の情報を整理し長期記憶に記憶する.並列に動作するこれらの記憶機能は,数理AIMモデルに基づき制御される.並列に動作する複数の画像処理と記憶機能を実装したステレオビジョンシステムにより,本提案の有効性を示す.