抄録
近年,脳からの信号により外部機器を制御する BCI(Brain computer interface)の研究が盛んに行われている.脳波による外部機器の制御では観測データを分別する必要があり,そのためには一般的にクラスタリング手法が用いられる.しかし,少量のデータ量によるクラス判別では精度が悪く,また,過去のデータにより同定したクラス推定では外部機器が環境の動的変化に追従できない場合がある.本論文では,逐次型学習クラスタリング法に対して,脳波信号データの順列を変更して精度を向上させるための順列データ構成法(PDSM:Permutation Data Structure Method)を提案する.PDSMでは,観測データからサンプリングデータを選別しテスト識別により観測データの傾向成分を獲得して,識別率を向上させるためにデータ順列を変更させる.ここでは,データのクラス順序とデータ順序を変更するデータ構成とデータパターンを識別する戦略の種類の観点から,合計15種類のPDSMを提案する.これらのPDSMに例題データを適用し識別率を検討することによって,それぞれの手法の有用性を検討する.