土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
宮城県を中心とした東日本大震災による水田の津波被害状況と今後の課題について
原口 暢朗北川 巌友正 達美嶺田 拓也ZUKEMURA Chika若杉 晃介
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2012 年 121 巻 p. 11-17

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抄録

東北地方太平洋沖地震に伴う巨大な津波により被災した農地の面積は,宮城県では約 15,000 ha に達した.農地への土砂やガレキの堆積など複数の理由により,同県の被災農地のうち当該年の栽培に向けた除塩面積はわずか 1,150 ha に止まった.筆者らは,未復旧の被災農地の調査を通じ,(i)農地へのガレキの堆積の様式は,高速道路の盛土や海岸からの距離によって影響されること,(ii)津波により農地に堆積した泥土の電気伝導度は高く,硫黄含有量も多いことから,栽培への影響が懸念されること,(iii)被災農地では耐塩性の高い雑草が占有してきており,防除が必要であること,を明らかにした.現在,震災から1年が経過し,同県における農地の復旧面積は 5,250 ha(復旧率約 40 %)に達した.未復旧の被災農地を含む今後の課題として,海岸に近い農地における排水不良および地域的な地下水の塩水化を指摘した.

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© 2012 土壌物理学会
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