日本顎関節学会雑誌
Online ISSN : 1884-4308
Print ISSN : 0915-3004
ISSN-L : 0915-3004
下顎頭の著しい変形を伴う慢性関節リウマチの一例
藤澤 政紀塩山 司高嶋 勉深川 聖彦鈴木 卓哉金村 清孝石橋 寛二
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 11 巻 2 号 p. 128-131

詳細
抄録

慢性関節リウマチ (RA) に罹患し, 開咬を呈する59歳女性の下顎運動を6自由度顎運動測定装置により測定した。下顎限界運動軌跡が最も収束する後方解析点は顎関節部に存在せず, 平均的穎頭点から20mm下方に位置していた。下顎限界運動時に前方解析点では正常者とあまり変わらない軌跡を描いたものの, 後方解析点では側方運動時に作業側が4mm後方に移動した。顎関節部の3D-CT所見から, RAが顎関節に波及し両側下顎頭が融解していることが判明した。このような形態的, 運動学的特徴をふまえた上で, 顎関節の負担を軽減するためにクラウンによる補綴処置を行い, 咬合支持を増やした。補綴処置に際して臼歯部咬合面を平坦な形態とし側方運動時の干渉を避ける咬合様式を設定した。齲蝕歯をクラウン処置したことにより, 口腔内清掃が満足に行えない患者にとってはメインテナンスの点でも利点があり, 良好な経過をたどっている。

著者関連情報
© 一般社団法人日本顎関節学会
前の記事 次の記事
feedback
Top