日本顎関節学会雑誌
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クローズド・ロック症例 (非ロック解除例) に対する開口練習の効果
松下 健高木 律男成 辰煕小林 龍彰武田 明義大橋 靖
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1995 年 7 巻 2 号 p. 345-354

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抄録

各種保存療法にても臨床症状の改善が得られず, 開口練習を主体に治療を行ったロック解除のないクローズド・ロック症例20例について, 開口練習前後および再調査時の臨床所見を比較検討し, 以下の結果を得た。
(1) 最大開口量は練習前平均26.5mmであったが, 治療終了時, 再調査時にはそれぞれ平均40.2mm, 40.8mmと増加していた。
(2) 疼痛は練習前は全例に認め重度が6例であったが, 治療終了時は重度は1例のみで, 再調査時にはさらに改善していた。
(3) 練習前7関節で認められたクレピタスは, 治療終了時には2関節で消失していたが, 7関節であらたにクレピタスが出現していた。それらは再調査時にも変化がなかった。
(4) 初診時に下顎頭骨変化がなかった13関節のうち8関節は再調査時に新たな骨変化の出現を認めた。また, 初診時に下顎頭骨変化を認めた関節も再調査時に骨形態が変化したものが多かった。
(5) 米国口腔外科学会顎関節内障手術の効果判定基準を準用した治療効果判定では, 奏効率は85%であった。
このように臨床症状が著明に改善された症例が多く, 開口練習は各種保存療法にてもロック解除のない難治性のクローズド・ロック症例に対して試みるべき治療法の一つであると思われた。

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