日本顎関節学会雑誌
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咬合支持部位の違いが咬みしめ時の咬筋, 側頭筋導出部位筋電図に及ぼす影響について
岡部 良博藍 稔
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1995 年 7 巻 2 号 p. 365-376

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抄録

咬合支持部位の相違が咬筋, 側頭筋の筋活動に与える影響を詳細に調べるために, 皮下針電極を多数用いて等尺性筋収縮活動を記録し検討した結果, 以下の結論を得た。
(1) 咬筋, 側頭筋共に同程度の咬合力発揮に必要な筋活動量は個人差が著しかった。
(2) 各咬合支持部位についての筋活動量は導出部位により異なった。咬筋では前後的には中央あるいは前方部, 上下的には下部の方が高くなる傾向を示した。側頭筋では前部が中部あるいは後部よりも大きくなった。
(3) 各導出部位について咬合支持部位を変化させると筋活動量も変化した。その変化パターンは各被験者で一定であった。このパターンは咬筋では個人差が著しかった。しかし, 側頭筋では個人差は少なく, 咬合部位が第二大臼歯から第一小臼歯へ移動するにつれて大きくなった。
(4) 咬合力が5kgfから15kgfへ増加すると筋活動変化率は咬筋および側頭筋で増加した。咬筋と側頭筋を共に測定した被験者では両筋の活動変化率には拮抗関係が認められた。

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