日本顎関節学会雑誌
Online ISSN : 1884-4308
Print ISSN : 0915-3004
ISSN-L : 0915-3004
女子大学生における顎関節症の疫学的研究
平澤 純子石井 昌子黒田 敬之藤崎 臣弘坂本 光徳加藤 嘉之
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 7 巻 2 号 p. 385-394

詳細
抄録

一般集団における顎関節症の発現頻度に関する報告は必ずしも多くない。本研究は青年期女子の間で顎関節症が既往を含め, どの程度の頻度でみられ, それらの頻度が咬合状態とどのような関連があるかを明らかにする目的で着手した。調査は, 18歳から23歳までの女子大学生301人 (平均年齢18.8歳) を対象に行った。アンケートにより, 関節症状を含む19項目について調査した。次に問診および触診により, 顎関節部における主要症状の有無を診査した。すなわち, 顎関節痛, 開口障害および関節雑音の3症状のいずれかの症状が認められるものを有症者, 既往のあるものを潜在的有症者, これら二つをあわせたものを全有症者として取り扱った。さらに口腔内診査により咬合状態の分類を行いこれらの結果を顎関節症状の有無との関係から比較検討した。結果は以下のとおりであった。
1) 正常者は55.4%, 全有症者は44.5%であった。2) 症状の内訳では雑音が90.2%と最も多く疹痛30.6%, 開閉口障害21.6%であった。3) Angle分類における全有症者率に有意差は認められなかった。4) 不正咬合の分類における全有症者率に5%の危険率で有意差を認めた項目は叢生であった。5) 習慣, 習癖等に対する質問に関しては有症者群と正常者群の問に5%の危険率で有意差の認められた項目は, 「噛みにくい側がある」および「頬づえをつく癖がある」であった。

著者関連情報
© 一般社団法人日本顎関節学会
前の記事 次の記事
feedback
Top