言語文化教育研究
Online ISSN : 2188-9600
ISSN-L : 2188-7802
論文
身体部位詞の多義性とその習得
視覚器官〈目〉の日中対照を通して
呉 琳
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2014 年 12 巻 p. 187-197

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抄録
身体部位詞の多義性は多くの先行研究が指摘している問題である。その指導に際して,一つの語に対して複数の語義を教える方法があるが,学習者は様々な派生義や用法を覚えなければならないという点から考えると,記憶の負担がかなり大きい。基本義はどのようなプロセスを経て派生義になったのか。そして,派生した意味同士には関連性が見られるのか。本研究は,こうした多義的な言葉や派生義に関する問題に取り組むことで,日本語教育推進のための基礎研究を試みるものである。以上のような問題意識に基づき,本研究では,視覚器官を表す日本語の「目」と中国語の「眼」を手掛かりにして,身体部位詞の多義性について考察を加える。先ずは,有薗(2013)が日本語の「目」,「耳」,「鼻」の意味拡張を分析するために提示した行為のフレームについて,それが中国語の「眼」にも適用可能であることを示す。次いで,中国語の「眼」の意味拡張を分析し,日本語の「目」の意味拡張と対照する。最後に,両言語の異同を明らかにし,日本語教育への応用について提言する。
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