現在,国内においてアジア非漢字圏からの留学者が急増し,日本語教育機関から専門学校への進学を選択する学習者の割合が増えている。その理由として,日本語能力が低く学部課程進学への準備が間に合わないといった報告がある。本研究では,アジア非漢字圏学習者のうちベトナムの学習者にインタビュー調査を行い,なぜ専門学校へ進学したのかについて,日本留学のプッシュ・プル要因と関連づけてうえの式質的分析法により分析した。プッシュ・プル要因は多様であるが,来日後には現実的な選択により理想自己の修正が迫られ,大学ではなく専門学校を進路として選択するケースや,日本での就業経験というキャリア形成の近道として専門学校が選択されるケースが見られた。質的調査により,日本語能力だけではない個々の留学に至るまでのプロセスおよび社会的環境から専門学校を選択する要因が明らかとなった。