日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
資料
通常型膵管癌に対する膵管洗浄液細胞診の有用性~胆膵領域の新たな検体採取方法
今村 綱男小泉 優子小山 里香子奥田 近夫竹内 和男松田 正道橋本 雅司渡邊 五朗吉田 仁井廻 道夫
著者情報
キーワード: 膵癌, 膵管洗浄
ジャーナル オープンアクセス

2009 年 51 巻 1 号 p. 84-90

詳細
抄録
通常型膵管癌(膵癌)の質的診断は困難である.今回,気管支肺胞洗浄液(BALF)をモデルに,膵癌症例の膵管洗浄液(PDLF)を採取し検討した.画像で膵癌と診断した18例を対象とし,ERPで擦過細胞診後,ダブルルーメン造影カニューラまたはトリプルルーメンバルーンを狭窄部近傍に留置した.造影ルーメンよりシリンジで生食を極少量ずつ注入し,同時に別のシリンジでワイヤールーメンより弱い陰圧で吸引し,PDLFを回収した.全例でPDLFを採取でき,細胞診は15例陽性(83%)であった.膵炎などの合併症はなかった.PDLFでは擦過に対し変性の少ない細胞を大量に回収できた.膵癌では膵管閉塞による流出障害,膵外分泌機能低下のため,純粋膵液採取に限界がある.PDLFは,生食を灌流することで容易に十分な細胞数の回収を可能にした.また,生食で灌流するため造影剤混入が少なく,細胞損傷が軽微であった.PDLFは細胞を大量に回収でき,膵癌診断の新法として期待される.
著者関連情報
© 2009 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top