抄録
【目的】自己免疫性肝炎における病期,病勢評価のための腹腔鏡の意義について検討した.【方法】腹腔鏡により肝表面像と組織学的所見を検討し得た自己免疫性肝炎51例を対象とし,臨床背景,血液生化学検査値,肝表面所見,組織学的所見について比較検討した.また,腹腔鏡下生検で得られた組織切片と,同時期に超音波下生検で得られた自己免疫性肝炎症例の組織切片について,長さ,面積,門脈域の数を比較検討した.【結果】赤色紋理と陥凹は,組織学的な壊死炎症及び線維化と強く相関する事が確認された.抗平滑筋抗体(SMA)陽性例では,赤色紋理,組織学的な壊死炎症及び線維化が進展している傾向を認めた.組織切片の比較では,長さ,面積,門脈域の数における腹腔鏡下生検の優越性が確認された.【結論】赤色紋理,陥凹は自己免疫性肝炎の病期,病勢を的確に反映し,腹腔鏡による肝表面の観察がAIHの病期,病勢診断に有用であることが示唆された.