2010 年 52 巻 5 号 p. 1393-1402
【背景・目的】胆管癌,膵管内乳頭状粘液性腫瘍(IPMN)は常に水平方向進展が問題となる.そこで非常に高い分解能を持つoptical coherence tomography(OCT)を用いて水平方向進展の描出能について検討した.【対象・方法】手術を施行した胆管癌2例,乳頭部癌4例,IPMN4例の計10例についてOCTと管腔内超音波検査法(IDUS)を施行し,病理組織標本と比較検討した.【結果】胆管では,非癌部の粘膜上皮,線維筋層,漿膜下層が境界明瞭に区別され,ルーペ像に近い画像が得られた.胆管粘膜肥厚部では癌の壁内進展と,炎症性肥厚との鑑別が可能であった.膵管では数十μm以下の粘膜肥厚の描出も可能であった.【結論】OCTはルーペ像に近い画像が得られ,IDUSでは描出不能であった微細な粘膜構造を捉えることができる.今後膵胆道腫瘍の水平方向進展度診断には非常に有用となる可能性が示唆された.