抄録
1999年から2008年の10年間に上部消化管内視鏡検査を施行された27,982例中,消化管出血例573例,出血性胃十二指腸潰瘍性病変384例,出血性胃潰瘍256例を対象に,その年次的推移を臨床的に検討するとともに,内視鏡止血術の有用性と限界について検討した.最近の2年間の出血性胃十二指腸潰瘍性病変の32.8% がNSAIDs,抗血栓剤服用例であり,抗血栓療法の普及により,一時減少していた出血性胃十二指腸潰瘍は増加していた.潰瘍の形態にも変化がみられ,胃角部潰瘍が減少し胃体部潰瘍・びらんが増加していた.出血性胃十二指腸潰瘍に対する内視鏡的止血率は,出血の程度や併存疾患が重症になるほど低下したが,全体的には96.6% と高率であった.抗血栓療法が施行されている症例は高齢者や重篤な併存疾患を有する症例が多く,留意する必要はあるが,症例に応じた治療を選択することで良好な成績が得られると考えられた.