日本消化器内視鏡学会雑誌
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総説
デジタル画像時代―何が問題か?
田中 三千雄
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2011 年 53 巻 5 号 p. 1419-1425

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抄録

時代がファイバースコープから電子スコープの時代になり,内視鏡の画像もフィルム画像からデジタル画像に移った.デジタル画像はフィルム画像に比べて,幾多の優れた点がある.画像の解像度,画像修正,画像解析,画像の転送,画像のファイリング法などがそうである.しかしながら様々な問題も新たに浮上してきた.例えば,内視鏡検査中における内視鏡像への精神集中度の低下,内視鏡画像の詳細・綿密な把握志向の低下(内視鏡報告書が電子カルテに直結した様式へ移行したこととMSTの導入による),多様化した画像を使いこなすことの困難さ,診断する画像枚数の極端な増加,画像の改ざんの容易性,画像保管システムの故障による影響の甚大さ,画像の外部漏洩などである.これらの問題には,内視鏡医の“内視鏡像を視る能力”そのものを弱体化することをはじめ,深刻な要素を孕むものばかりである.われわれは今後,これらの問題点の顕在化を注意深く監視しなければならない.またそれと共に,新しい発想に基づいた「内視鏡画像トレーニング法」の確立と普及を期待したい.

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© 2011 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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