2011 年 53 巻 5 号 p. 1441-1444
症例は59歳,女性.2009年12月初旬午前にS状結腸癌術前のため下部消化管内視鏡検査にて腫瘍付近にマーキングクリップを行った.夕方に腹痛が増悪し再診した.腹部レントゲン検査,腹部CT検査にてfree airを認め,マーキングクリップによるS状結腸穿孔と診断し,同日緊急手術を行った.切除検体の漿膜面に露出しているクリップ先端が確認できた.稀な下部消化管内視鏡検査の偶発症であるが,マーキングクリップの危険性を念頭に置き処置するべきと考えられた.